[インタビュー|OFFSTAGE]ジャーメイン・ジャクソン
リードもサポートもいけるのがシンガーの強み。
ジャクソン・ファミリーの三男、ジャーメイン・ジャクソンはジャクソン5やマイケル・ジャクソンのナンバーも披露。きらびやかなエンターテインメントを楽しませてくれた。
11月に4公演行われたジャーメイン・ジャクソンのショウは、ジャクソン5、マイケル・ジャクソンのナンバーも歌われ、ジャクソン・ファミリーのメモリアル・イベントともいえる内容だった。
「今回はアップテンポの曲でスタートしたかったので、1曲目は僕の「ダイナマイト」。そして、ジャクソン5、ジャクソンズ、マイケルの曲を歌っていった。もっとたくさんの曲を披露したかったけれどね」
ジャーメインにとって、兄弟で結成したジャクソン5とはどんな存在だったのだろう。
「僕のキャリアのスタートで、僕たち兄弟そのものだった。今回歌った「帰ってほしいの」「ABC」「アイル・ビー・ゼア」......すべてがナンバーワンヒットになり、エヴァーグリーンとして聴かれ続けている。それぞれの曲が命を持っていると感じているよ」
1960年代から70年代の音楽シーンで、ジャクソン5は、なぜ特別なグループになりえたのだろう。
「まず父と母のおかげだ。小さいころは、ほかの子どもと同じようにクリケットやベースボールをして遊んでいたけれど、僕たちの音楽の才能を両親が見抜いて、歌わせた。あとは神様の力さ。いつも僕たちのうしろで支えてくれて、多くの出会いを与えてくれた。テンプテーションズ、ダイアナ・ロス、マーヴィン・ゲイ、ジェームス・ブラウンといった最高峰のアーティストを間近に見たことで、僕たち兄弟はどんどん成長していくことができた。僕が特に影響を受けたのは、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、スリー・ドッグ・ナイト、そしてカーペンターズだ。バンドやグループとして活動して、歌っているアーティストに憧れていたんだ」
今回のショウではマイケルの「スタート・サムシング」や「今夜もビート・イット」も歌った。
「マイケルは才能があったことはもちろん、圧倒的な努力を重ねていた。幼いころから常に誇りをもって歌い、誇りを持って踊っていた。眠る時間も惜しんでね。そういう姿勢が彼を特別にした。常にレッスンをしていたから、ステージではいつも余裕をもってパフォーマンスをしていたよね」
そんな才能あふれるファミリーの中にいて、ジャーメイン自身は、ヴォーカリストとしてどんな個性があり、強みをもっていたのだろう。
「まず、僕自身はスローナンバーを歌うのが好きだった。両親が好んで歌わせたからね。バラードには高いスキルが必要だと思っていたよ。でも、やがて、アップテンポな曲にも深みがあることを知った。そして、キャリアを重ねてはっきりとわかった僕の強みは、リードヴォーカルとしてだけではなく、サポートするシンガーとしても歌えること。ジャクソン5でも、後のホイットニー・ヒューストンのアルバムでも僕の個性が生かされたと思う」
ホイットニーのデビューアルバム『そよ風の贈り物』では3曲をプロデュース。デュエットもした。
「あのアルバムは約1700万枚売れた。サポートシンガーとしての自分に確信を持つことができたよ」
Photo by Tsuneo Koga
- An Intimate Evening with
JERMAINE JACKSON - 2019 11.7 - 11.10
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JERMAINE JACKSON
(ジャーメイン・ジャクソン) - 1954年、インディアナ州生まれ。マイケルと人気を二分したジャクソンファミリーの三男。ソロ作品もコンスタントに発表し、「ダディーズ・ホーム」「レッツ・ゲット・シーリアス」など多数のヒットナンバーを生み出した。
photography = Hiroyuki Matsukage
interview & text = Kazunori Kodate
interpretation = Kazumi Someya