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[インタビュー|OFFSTAGE]グレッチェン・パーラト

[インタビュー|OFFSTAGE]グレッチェン・パーラト

言葉を発した時からずっと歌い続けています。

9月の来日公演では透き通るようなデリケートな声で、客席を魅了したシンガー、グレッチェン・パーラト。彼女が影響を受けたミュージシャンは? アルバムは?

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 シンプルなピアノトリオをバックに、ソフトな声が会場の空気を優しく揺らす。デリケートな波動が客席の隅々までいきわたる。9月に2日間4公演行われたグレッチェン・パーラトの公演にはさまざまな世代のオーディエンスが集まった。

「音楽家の家庭に生まれた私は、言葉を発するようになった幼少時からずっと歌っています。歌うことは私の喜びでありつづけています。シンガーになりたいと思ったのはごく自然な成り行きでした。最初は純粋に楽しいから歌っていました。プロになろうと思ったのはハイスクール時代。歌うことこそ自分の生きる道だとはっきりとわかったからです」

 最初に好きになったシンガーは、『メリー・ポピンズ』や『サウンド・オブ・ミュージック』など女優としても活躍、アカデミー主演女優賞も獲得しているジュリー・アンドリュースだった。

「その後ジャズに目覚め、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンに夢中になりました。そしてブラジル音楽を聴くようになり、ジョアン・ジルベルトに恋をした。それからは、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン......。あげていったらきりがないほど多くのシンガーに心惹かれました」

 このようにグレッチェンがあげるシンガーは、みんな特別な声の持ち主。では、彼女自身は自分自身の透き通るような声を維持するためには、ふだんから何を心がけているのだろう。

「声はトレーニングによって育てられるものです。でも、人間の体には限界はあります。だから、今ある自分の声を大切にしなくてはいけません。まず、歌うときは常に発声の基本を強く意識して、けっして喉に過度な負荷はかけません。ステージに限らず、日常的に会話をしているときも、できる限り喉をいたわるようにしゃべっているほどです。さらに、私の喉を守ってくれているものがあります。それはお茶です。朝も、昼も、夜も、意識的にお茶を飲むことが喉を守っていると感じています」

 さて、グレッチェンはふだんから多くのミュージシャンの影響を口にしているが、リスナーとして愛するアルバムもあげてもらった。

「チャーリー・パーカーの『Yardbird Suite』、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』、ウェイン・ショーターの『スピーク・ノー・イーヴル』、ハービー・ハンコックの『ヘッドハンターズ』、ジョアン・ジルベルトの『三月の水』......。同世代のミュージシャンでは、2003年にニューヨークへ移った時に知り合ったロバート・グラスパーね。共演だけでなく、ライヴを観るなど時間を共有することで、私にヴィジョンを与えてくれています。そして、もう一人、私に大きな影響を与えているのが、夫のマーク・ジュリアナです。彼は私のバンドでドラムスを叩いてくれていて、常に新しい音楽を見せてくれます。言葉で何かを伝えるだけでなく、彼が音楽と向き合う姿を見るだけで、私の中に大きなインスピレーションが生まれています」

live photo

Photo by Takuo Sato

GRETCHEN PARLATO
2017 9.20 wed., 9.21 thu.
GRETCHEN PARLATO (グレッチェン・パーラト)
1976年、ニューヨーク生まれ。新人の登竜門セロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズ・コンペティションのヴォーカル部門で優勝、ハービー・ハンコックやウェイン・ショーターらも絶賛する。

photography = Hiroyuki Matsukage interview & text = Kazunori Kodate PR coordinator / Artist: Kei Kato

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