[30周年スペシャルインタビュー]黒田卓也 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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[30周年スペシャルインタビュー]黒田卓也

[30周年スペシャルインタビュー]黒田卓也

My Favorite Things about Blue Note Tokyo
TAKUYA KURODA

 日本を代表するトランぺッターの黒田卓也は世界中のライヴハウスで演奏してきた。そんな黒田が日本でのツアーでは必ずと言っていいほどブルーノート東京でライヴを行っている。世界とブルーノート東京の両方を熟知した黒田がブルーノート東京の魅力を語る。

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「自分の名前で初めてブルーノート東京に出たのは2016年の『ジグザガー』の東京リリース後ですね。サポートだと2014年のJUJUです。ブルーノートならではの緊張感があるなって思うんです。それにミュージシャンだけじゃなくてお客さんも緊張してるんですよ、格式も高いし、お店のホスピタリティの方向性もあって、背筋が伸びるわけですよ。その緊張感はステージにも伝わってて(笑)それをいかにぶち破るかが腕の見せ所ですよ。僕もいまだにピリッとしますね」

 ブルーノート東京はジャズミュージシャンとして特別な場所だと黒田は言う。

「ブルーノート・ニューヨーク(以降N.Y.)はブランチとか夜中にサブギグがあるんですよ。僕も2007年の時点でブランチでブルーノートN.Y.の舞台には立ってて。だから、N.Y.にいるミュージシャンはほぼみんなブルーノートN.Y.には出てるんですよ。という意味では、ブルーノート東京はかなり門が狭いですよね」

 そんなブルーノート東京は世界中のジャズクラブで演奏している黒田から見てどんなところが魅力なのだろうか。

「このサイズでこのサービスレベルでこの音響レベルはなかなかないですね。少なくともN.Y.では300人くらい入って、こんなにきれいな場所ってないです。特にビッグバンドが入るくらいステージがデカいのが素晴らしい。大所帯のアフロビートバンドも乗れるサイズは魅力です」

 黒田の音楽にはヒップホップもアフロビートも取り入れられているし、今、そんなジャンルを超えた音楽を奏でるジャズミュージシャンが増えている。ブルーノート東京はジャズクラブでありながら、そんな新しいジャズを含め、様々なジャンルのアーティストが出演する場所でもある。

「ブッキングしてるアーティストのラインナップもここ数年で幅が広がったなって思います。アンティバラスやスカタライツも出てるし、ジャズではないけど、いいところをブックしてるなとは思ってます。シェウン・クティとかアフロビートが出てるのは個人的にうれしいですね。N.Y.だといろんな種類のサイズで、いろんなジャンルで分けられてるから、一つのいい箱がいろんなジャンルをやる必要がないというか。ジャズスタンダードはジャズをずっとやってるし、アフロビートのバンドがジャズスタンダードでやることは絶対にないし。そういう風にヴェニュー側がプロデュースするっていうより、そのジャンルに見合ったヴェニューがあるんじゃないかなと。ヴェニュー側からいろんなジャンルを巻き込んでっていうブルーノート東京みたいな場所はないかなって思いますね。ジャズクラブの名門が多岐にわたる音楽をサポートしているというのは例を見ないかもしれませんよね。グラスパーの時はヒップホップやR&B好きそうな若い人がたくさん来てたり、ブルーノート東京は客層も変わってきましたよね。ブッキングでも、ものんくるが出たり、日本のミュージシャンでもいいところを狙うなと思ってます」

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 また黒田はMISIAのバンドのメンバーとして、横浜アリーナとブルーノート東京の両方でのライヴに出演している。

「MISIAはブルーノート東京でやった後にこんなにお客さんが近いの初めてだって言ってましたよ。緊張したって。最初、MISIAが花道を通ってくるじゃないですか。お客さんからしてもでっかいステージで米粒みたいにおるMISIAがあんな近くにいることはないらしくて、近すぎて緊張してましたよ(笑)」

 そもそもブルーノートは客席とステージとの距離が近いだけでなく、ライヴが終了後にアーティストが客席に出てきてお客さんと話している光景も時々見かける。

「ジャズミュージシャンはみんなフレンドリーなんですよ。ちなみにブルーノートの楽屋にはハードリカーが置いてないので、ウイスキーとか飲みたい人は取りに行かないといけないんですよ。ウイスキー派は楽屋から出てくる率が高いと思います」

 最後にブルーノート東京に何度も出演し、ライヴの前後に楽屋でシェフが腕を振るった食事を何度も食べている黒田はブルーノート東京のフードをこう語ってくれた。

「ブルーノート東京は"まかない最強説"がありますよ。アーティストにはシェフが腕によりをかけたものを出してくれるんですけど、僕らがサウンドチェックしてるときにスタッフが食べてるまかないが美味そうだったんで、僕もそこに並んで良い許可を得ましてですね、スタッフと一緒に並んで食べてるんですけど、それもめっちゃ美味いんですよ。何を食べても美味いんですよ」

photography = Atsuko Tanaka
interview & text = Mitsutaka Nagira

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