ゴスペル・ブランチで楽しむ、カーク・ウェイラム
真摯に音楽に向き合う信心深いカークと
ジョンとケヴィンとシェレーラの極上ライヴ
4倍。サックス奏者カーク・ウェイラムとゴスペル、ソウル・シンガー、ジョン・スタッダードは盟友で二人だけのコンサートも開いている。昨年(2013年)クロード・マクナイトのバックでも二人は一緒にやってきた。カークは自身名義でも、その他のアーティストのバックでも多数来日している。ビッグなところではホイットニー・ヒューストンの日本コンサートでもカークは来ていた。
そんな彼が昨年のステージでこんなことを言っていた。「僕は映画『ボディーガード』の『アイル・オールウェイズ・ラヴ・ユー』(ホイットニーのヒット)でサックスを吹いた。実際映画の撮影でもライヴで吹いていた。ただカーテンの後ろで演奏していたので姿は映ってないんだけどね。でも、僕はそれだけで十分だ。この曲で聴かれるサックス・ソロは、他のどのヒット曲のサックス・ソロよりも聴かれている。それだけで本当に謙虚に嬉しく思っている。ホイットニーは『オールウェイズ(いつも)』愛を与える人だった。『サムタイム(ときどき)』ではなくてね」
カークがゆっくり話している間中、ジョンが静かにキーボードでしっとりとしたBGMをさりげなくつけている。これがまたいい雰囲気だ。
そして、ゆっくりとステージを降り、客席に入り、彼はあのイントロのサックスをしっとりと吹き出した。もうそんな曲ふりをされてから流れてくるサックスの響きのなんと美しいことか。いっぺんにカーク・ウェイラムは僕のナンバーワン・フェヴァリット・サックス・プレイヤーになってしまった。
そして、盟友ジョン・スタッダードの声は、ビー・ビー・ワイナンズ、テディー・ペンダグラス系の実にソウルフルで温かいもの。彼の「エンジェル」は感動の名曲で、昨年のステージで歌われたときも大喝采を集めた。カークもジョンも大変信心深くまじめなゴスペル・アーティストだ。音楽に向かうその真摯な姿勢は、そのサックスの音色、声からも十分に伝わってくるはずだ。
さらに今回のカークのライヴにはもうひとり強力なシンガーが登場する。シェレーエ・フレイジャーだ。ミネアポリスのスーパー・プロデューサー、ジミー・ジャム&テリー・ルイスのコンビの下で修行を積み、ソングライターとしてヴァネッサ・ウィリアムスらに曲を提供、さらにテイク6、スティーヴィー・ワンダーらとの共演などで業界内で注目されているシンガーだ。自身のアルバム『ラヴ・フェル・オン・ミー』(2013年)も話題になっている。加えて、カークの弟ケヴィン(シンガー)も帯同。今回のカークのライヴは、一粒で4倍(カーク、ジョン、シェレーエ、ケヴィン)もおいしいライヴだ。
5.18 sun. の1st Show はゴスペル・ブランチ
魂に響くサックスの音色、歌声とともにソウルフードの盛り合わせをお楽しみください。
ゴスペル・ブランチ・プレート ¥2,530(税サ込)
※ゴスペル・ブランチ・プレートは数に限りがございます。
[ゴスペル・ブランチとは]
休日には少しゆっくり朝食兼昼食(ブランチ)を取りにながらいい音楽(例えば、ゴスペル)を聞こうという企画。カーク・ライヴの最終日2014年5月18日(日)のファーストセットは、午後1時開場、ゆっくりブランチを取りながら2時からコンサートを楽しめる。アメリカでは一般的なゴスペル・ブランチが日本でも楽しめる。
5.18 sun. [1st]Open1:00pm Start2:00pm [2nd]Open4:00pm Start5:00pm
- 吉岡正晴(よしおかまさはる)
- 音楽評論家DJ。ソウル・ミュージックの過去現在未来をわかりやすく紹介する専門番組『ソウル・サーチン・レイディオ』(インターFM76.1mhz毎週火曜夜放送)の選曲構成出演。毎日更新ソウル・サーチン・ブログも