マグダ・ヤニクゥ、小川慶太が語る「バンダ・マグダ」の世界 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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マグダ・ヤニクゥ、小川慶太が語る「バンダ・マグダ」の世界

マグダ・ヤニクゥ、小川慶太が語る「バンダ・マグダ」の世界

最新作『TIGRE』を携え、来たる12月に待望の再来日!
世界中の音楽ファンをワクワクさせる話題の多国籍バンド
「バンダ・マグダ」の魅力に迫る

新作『Tigre』をリリースしたバンダ・マグダがブルーノート東京のステージに登場する。バンダ・マグダと言えば、小川慶太をはじめ、スナーキー・パピー周辺のミュージシャン達による卓越した演奏とマグダ・ヤニクゥによる超個性的な楽曲が特徴になっていて、ライブではその魅力が更に加速することは過去の来日でも証明済みだ。ここではリーダーのマグダとメンバーの小川慶太へのインタビューで彼らの魅力を紐解いてみようと思う。

interview & text = Mitsutaka Nagira

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――『Tigre』のコンセプトを聞かせてください。

 マグダ「アルバムのテーマは勇気と恐怖です。全ての曲で、暗闇の恐怖、傷つくことへの恐れ、失敗の恐れ、野生の恐怖、欲求を声にする恐れなど、異なる恐怖を描いています。」

――前作『Yerakina』との違いをどんなところに感じてますか?

 マグダ「『Tigre』と『Yerakina』では内容は全く違っています。まず『Tigre』はほとんどがオリジナル曲で構成されてます。『Yerakina』は世界各国の民謡やポップスのカバーアルバムでした。そして『Yerakina』を作った時期が私の人生でもまだ余裕があった時期だったので、親しい仲間と和気藹々と作り上げたのに対し、『Tigre』はもっと大胆で、楽器の構成もパワフルで壮大です。これらの曲は争い、挑戦、困難さ、それら全てのことを表現する必要性からきています。」

――『Tigre』のサウンドに関して、普段のライブとの違いはどのあたりに出ていると思いますか?

 マグダ「アルバムはたくさんのバンダマグダファミリーでいくつも重ねどりをしているのでかなり緻密に作り込んでいるんです。でも、ツアーで回るときは4~6人なので、その人数で表現するのはチャレンジですが、そのプロセスはとても美しいものです。バンダマグダのライブは演劇的な要素もあり、小編成でも十分にサウンドするようにそれぞれのパートをライブ用にアレンジして演奏しています。それとお客さんがコーラスパートを歌ったりボディパーカッションを教えて参加してもらうこともあります。このバンドはライブとアルバムでサウンドがはっきりと異なるんです。」

――このアルバムのレコーディングでメンバーが特にこだわっていたのはどんなところですか?

 小川慶太「まずリハーサルにたくさん時間を使いました。曲そのものの雰囲気を保ちながらいろんなグルーブやアレンジを試しました。マグダはこのアルバムで最も重要なストリングスアレンジにかなり時間をかけてましたね。僕はスタジオではパーカッション、マレット、ギターでいろんな音色を重ねてパワフルなサウンドを構築しました。」

――最後に小川慶太さんから見たマグダさんの曲の魅力を教えてください。

 小川慶太「全ての曲でストーリーがあって、サウンドもとてもユニークでリッチでなおかつポップなところがとても魅力的だと思います。バンダマグダのライブはアルバムとは違って小編成なので、先にアルバムを聴いてからライブに来てもらえると違いがわかって面白いと思いますよ。」

ライブ写真提供:COTTON CLUB
撮影:米田泰久

柳樂光隆(なぎら・みつたか)
1979年島根県出雲市生まれ。ジャズとジャズの周辺を中心について書いている音楽評論家。21世紀のジャズをまとめた世界初のジャズ本『Jazz The New Chapter』シリーズの監修者。共著に『100年のジャズを聴く』。

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