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[インタビュー|OFFSTAGE]チューチョ・バルデス&ゴンサロ・ルバルカバ

[インタビュー|OFFSTAGE]チューチョ・バルデス&ゴンサロ・ルバルカバ

キューバのレジェンド2人の40年来の絆。

アメリカとキューバの国交回復が背中を押した夢のデュオ、チューチョ・バルデスとゴンサロ・ルバルカバが、ワールドツアーで世界中のオーディエンスを魅了。

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 10月の日本列島を台風21号が襲った夜、チューチョ・バルデスとゴンサロ・ルバルカバの、3日間6公演のブルーノート東京公演がスタートした。

「外は嵐。会場には誰も来ないと思っていたら、1stショーが満席で、びっくりしたよ」

 チューチョはがぜんテンションが上がった。

 2人ともキューバのレジェンド。しかしゴンサロはニューヨークで活躍。母国と自由に行き来できなかった。でも、2016年にアメリカとの国交が回復。2人の共演の障害は取り払われた。

「4月、僕たちは首都ハバナで行われたインターナショナル・ジャズ・デイ・グローバル・コンサートでも共演した。昨年キューバとアメリカの国交が回復したからこそ、僕も堂々と参加できた。実にファンタスティックな夜だったよ。ハバナで、友人の前で演奏できるなんて。夢のようだった」

 ゴンサロはまだ興奮が収まらない。その後各国のイベンターからのオファーに応じ、アジアツアーのファイナルでブルーノート東京を訪れた。

 2人の出会いは、40年以上前にさかのぼる。

「当時僕は30代前半。ハバナのペイシャル・アルテスというミュージアムで行ったコンサートに、7,8歳の男の子が観に来た。その子はピアノを弾き、ドラムスを叩き、楽器なら何でも演奏できる天才だと紹介された。それがゴンサロだった。でも、まさか、こんなにすごい音楽家になるとはね。あの夜はさすがに想像できなかったよ」

 チューチョが目を細める。

「ゴンサロが素晴らしいのは、ピアノの名手であるだけでなく、既成概念にとらわれないということだ。どの国にも、音楽とはこうあらなければいけないという定型の規則というか、思い込みがあるよね。それを彼は自分のバンドを率いて、ことごとく破壊して、オリジナリティあふれる音を生んできた」

「チューチョにこんなにもほめてもらえるなんて。僕はほんとうに幸せ者だと思う。キューバ音楽において、彼は唯一無二のレジェンド。キューバの音楽史を築いた人。作曲家としても、ピアノの演奏者としてもね。キューバのミュージシャンで、チューチョの影響を受けていない人は1人もいない。さらに彼が素晴らしいのは、キューバ音楽の伝統を大切にしながら、なおかつ新しい挑戦も重ねてきたことだよ。存在そのものがキューバ音楽の歴史であり、未来でもある。今、僕はツアーでかみしめているよ」

 ゴンサロはチューチョとの旅で演奏をしながら、キューバ音楽のおさらいもしているという。

「1970年代のキューバ音楽、1980年代のキューバ音楽......。2台のピアノを向き合わせて演奏しながら伝統をシェアし、リアルに思い出しているんだ」

 ジャズ・デイでの演奏が大きな反響だった影響もあり、2人のユニットはまだまだ続くことに。

「日本公演の後はヨーロッパツアー。そして今年の年末から来年にかけて2人でレコーディングも行うことになった。楽しみにしていてほしい」

live photo

Photo by Yuka Yamaji

CHUCHO VALDÉS & GONZALO RUBALCABA "TRANCE"
2017 10.22 sun., 10.23 mon., 10.24 tue.
CHUCHO VALDÉS(チューチョ・バルデス)
1941年、ハバナ生まれ。革命的音楽集団イラケレにグラミーをもたらす。楽器が揺らめくほどの強力なピアノ・タッチは世界屈指。クラシックの分野にも持ち場を構える。
GONZALO RUBALCABA(ゴンサロ・ルバルカバ)
1963年、ハバナ生まれ。クラシックと作曲を学び、キューバ音楽とジャズの両方を追求する超絶技巧派のピアニスト。ブルーノートから米国デビュー、グラミー賞受賞暦もある。

photography = Hiroyuki Matsukage interview & text = Kazunori Kodate interpretation = Aki Ota

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