奇跡の来日公演を控えるオマーラ・ポルトゥオンド   現地ライブレポートが到着! | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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奇跡の来日公演を控えるオマーラ・ポルトゥオンド   現地ライブレポートが到着!

奇跡の来日公演を控えるオマーラ・ポルトゥオンド   現地ライブレポートが到着!

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』でもお馴染み
キューバの至宝とも呼ばれる伝説のヴォーカリスト
オマーラ・ポルトゥオンドの歌声の魅力

いよいよ今週末からの奇跡の来日公演を控える、キューバ音楽のレジェンド、オマーラ・ポルトゥオンド。最近行われたキューバでのふたつのライブ(テアトロ・ナシォナルとオテル・ナシォナル)の模様をキューバ在住のライター/写真家の板垣真理子が伝える。

text & photography = Mariko Itagaki

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 なんといっても。20年前「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(BVSC)」と衝撃的な遭遇をしたのは、彼女、オマーラ・ポルトゥオンドさんの声でだった。ハンチングを被った切ない歌声のイブライム・フェレールさんと「シレンシオ」を歌うスタジオでの姿。向かい合って立つ二人のマイクの周囲をカメラがゆっくりと廻る。「なにしろ10数年ぶりの出会いだったから、溢れる想いがとめどなかったの」そう語った彼女。

 そう。「溢れる想い」その一言がBVSC とキューバの歌すべてにあるとてつもなく魅力的な要素の一つだ。あの声に「おとされた」私がBVSCの全員と幸せな出会いを果たしてからもう18年。当時からすでに高齢だったメンバーの大半がこの世を去ってしまった今も、元気で現役で歌い続ける声に、ごく最近のハバナでふたたび幸せな遭遇をした。その姿に圧倒されつつも、深く感動する。

 ひとつは恒例になったキューバ・ジャズ・フェスの一こま、テアトロ・ナシォナル。現存するBVSCのオリジナル・メンバー4人全員がステージに上がった日。オマーラさんが登場すると、会場は一際、熱した。そこにある空気が一瞬で2~3度あがったような気分。

 広い会場に響き渡る声。「えっ、本当にあの高齢のオマーラさんがこれほどの声で?」と思った瞬間、ふとピアニストと語り始める。「ほら、今ここにいる私が、こうしてピアノと語っているのよ」。そう言いたげにさえ見える。演出力の素晴らしさ。15歳でデビュ―してから果たしてきた星の数ほどのステージ。培ったすべてが今のこの彼女にある。

 あと一つは、ハバナの誇るオテル(ホテル)・ナシォナル。この日のステージのすべてを彼女は一人で歌いきった。温かく、時に切なく歌い上げる声。はたまたコミカルな踊りも。その姿に私は「剽軽な魔女」という言葉を重ねた。まったく魔女でなければこんなことは出来っこない。今年米寿の88歳。この来日ステージは、けっして見逃せない。Vamos !

板垣 真理子(いたがき・まりこ)
1982年ジャズメンを撮ることで仕事を始める。音楽に魅せられアフリカ通い、さらに神々の渡った先ブラジル、カリブにも通う。著書写真集、写真展多数。現在キューバ在住。写真と文を日本に送る傍ら歌手として歌っている。世界の「壁」に写真を飾るプロジェクトも進行中。
http://orange.zero.jp/afrimari/

<公演情報>

チケットぴあ インフォメーション:0570-02-9111

※オマーラ・ポルトゥオンド @ブルーノート東京公演(3.18 sun.)はソールドアウトとなりました。

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