LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


RHIANNON GIDDENS

artist RHIANNON GIDDENS

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


カントリー、ブルース、ゴスペル、フォーク、ロックが一体となった空間。アメリカーナ・ミュージックを牽引するひとり、リアノン・ギデンズが遂に初来日を果たしました。

彼女はアメリカ・ノースキャロライナ州出身。大学ではオペラを専攻し、日本語のクラスもとっていたそうです。ユニット"キャロライナ・チョコレート・ドロップス"(CCD)ではグラミー賞を受賞、4月下旬に国内リリースされるチェロ奏者ヨー・ヨー・マの新作『シング・ミー・ホーム』にも、グレゴリー・ポーターらと共にフィーチャリング・シンガーとして迎えられています。

圧倒的な表現力、豊かな声量、抜群に通る声質、なんともいえない愁いを漂わせる節回し・・・・リアノンの魅力は1曲目、ボブ・ディランが作詞した「Spanish Mary」から全開です。CCDのメンバーであるローワン・コーベット、ハビー・ジェンキンスもキメの細かいサポートで歌を引き立てます。MCでは日本語を交えて初来日の嬉しさをアピールし、続いてファースト・ソロ・アルバム『Tomorrow Is My Turn』からドリー・パートンの「Don't Let It Trouble Your Mind」を披露。ドリーはリアノンにとって、最高のフェミニスト・ミュージシャンであるそうです。続いて伝説のカントリー・シンガーであるパッツィ・クラインの名曲「She's Got You」、オデッタのヴァージョンを基にアレンジしたという「Waterboy」が歌われます。20世紀の様々なルーツ・ミュージックを探求し、それを現代の空気の中に開放する(ジェイミー・ディックが打ち出すリズムには、ヒップホップの残響も感じられました)リアノン、およびバンド・メンバーに最敬礼です。

リアノンは歌のほか、フィドル、バンジョーにも才能を発揮しました。他のメンバーも芸達者ぞろいで、チャンス・マッコイもエレクトリック・ギターとフィドルを兼任。ジェンキンスはゴスペル曲「Children Go Where I Send Thee」でリード・ヴォーカルをとったり、マンドリンやアコースティック・ギターを弾いたり、大太鼓を叩いたりの大活躍でした。

オーラスは、"シスター・ロゼッタ・サープに捧げる"と前置きされてからの、「Lonesome Road」。個人的には浅川マキの名唱も印象深いですが、タンバリンを叩きながらリズミカルに歌うリアノンの解釈も見事でした。先人に敬意を払いつつ、新しい道を切り開くリアノン一同。ここには音楽における、実に美しい"伝承"の姿があります。
(原田 2016 3.15)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2016 3.14 MON.
1st & 2nd
1. SPANISH MARY
2. DON'T LET IT TROUBLE YOUR MIND
3. SHE'S GOT YOU
4. WATERBOY
5. UNDERNEATH THE HARLEM MOON
6. LAST KIND WORDS
7. LOUISIANA MAN
8. FACTORY GIRL
9. CHILDREN GO WHERE I SEND THEE
10. COME LOVE COME
11. MOUTH MUSIC
12. DUNCAN AND JIMMY
EC. SISTER ROSETTA THARPE

INDEX