5.20 sun., 5.21 mon. @Blue Note Tokyo / 5.22 tue., 5.23 wed. @Cotton Club / 5.24 thu. @Nagoya Blue Note
THE BRENNA WHITAKER LITTLE BIG BAND
artist BRENNA WHITAKER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
名プロデューサーのデヴィッド・フォスターが育成からプロデュースまで手がけ、スティーヴィー・ワンダーやクインシー・ジョーンズらが才能を賞賛。乗りに乗るブレナ・ウィテカーが待望の再登場を果たしています。
'50年代のアメリカのファッション雑誌から飛び出してきたような、ちょっとノスタルジックな美貌も持ち味の彼女。ヴォーカルは声量に恵まれていて迫力があり、昔風の言葉で言うと"パンチが利いた"という表現がぴったりです。そして往年のブラック・ミュージックへの敬愛を、あふれるほど持ち合わせています。
バックの面々は3本の管楽器を含む7人編成。"リトル・ビッグ・バンド"というだけあって、分厚いリッチな響きが特徴です。音楽監督でテナー・サックスとクラリネットを吹くロビー・マーシャルはマイケル・ブーブレ、カサンドラ・ウィルソン、カルロス・サンタナ等とも共演歴のある気鋭。バンドキャンプでは、自身のプロジェクトによるいくつもの意欲的な音源を販売しています。日本から参加した楠井五月はTOKU、伊藤君子、チャリートなど数々の人気シンガーを支えてきたベーシスト。ウッド・ベースとエレクトリック・ベースを持ち替え、前者では実に美しい弓弾きも聴かせてくれました。
プログラムはまず、彼女の代表曲「Black And Gold」から始まりました。モノクロ画像によるミュージック・ビデオが公開されたのは今から約3年前。そこからブレナは一躍スターダムにのしあがったのです。「Anyone Who Had a Heart」、「A House Is Not A Home」とバート・バカラックの楽曲を続けた後は、ドリス・デイが1947年に出したヒット曲「Tacos, Enchiladas, and Beans」へ。ブレナは"スシ、サシミ"といったフレーズも挟み込んで、観客を和ませます。そしてキャブ・キャロウェイに捧げた「Hi Dee Ho」ではキャブばりのユーモラスなスキャットと身振りで熱唱。バンド単独演奏による「Caravan」を聴けたのも収穫でした。というのはこの曲のオリジネイターであるデューク・エリントン・オーケストラは、数日前までブルーノート東京に登場していたからです(この曲も、もちろん先日の公演で演奏されました)。エリントン公演で「Caravan」を聴いた方は、ぜひブレナの公演にも足を運び、"リトル・ビッグ・バンド"の演奏する「Caravan」と聴き比べてみるのも楽しいのではと思います。
夏に発売されるというニュー・アルバムからは、「Everything Must Change」をしっとり披露。マリーナ・ショウ、クインシー・ジョーンズらもとりあげた定番ですね。音が消えた後も、オーディエンスは音楽の余韻に浸ったままです。ブレナがちょっと不思議そうな表情をすると、その数秒後、怒涛のような拍手が巻き起こりました。彼女は観客の心を完全に奪ってしまったのです。そしてオーラスは、ピアニストのサム・バーシュ(かつてベース奏者アヴィシャイ・コーエンのバンドに在籍、ケンドリック・ラマーの金字塔『To Pimp a Butterfly』にも参加)とのデュオで「Over the Rainbow」。あまりにも有名なこの曲をブレナは、ドリス・デイやトニー・ベネット同様ヴァース(前歌)から丁寧に届けます。歌手として、エンターテイナーとして、彼女はさらにスケールを増しました。ブルーノート東京公演は本日まで、その後22日と23日はコットンクラブに登場します。
(原田 2018 5.21)
Photo by Yuka Yamaji
●THE BRENNA WHITAKER LITTLE BIG BAND
2018 5.20 sun., 5.21 mon. ブルーノート東京
2018 5.22 tue., 5.23 wed. コットンクラブ
2018 5.24 thu. 名古屋ブルーノート
2018 5.20 SUN.
1st | |
---|---|
1. | BLACK AND GOLD |
2. | ANYONE WHO HAD A HEART |
3. | A HOUSE IS NOT A HOME |
4. | TACOS, ENCHILADAS AND BEANS |
5. | READING RAINBOW - HI DEE HO |
6. | WAITING FOR CHARLIE TO COME HOME |
7. | THE VERY THOUGHT OF YOU |
8. | CARAVAN |
9. | WALKING IN THE SAND |
10. | LONG AS I’M MOVIN’ |
11. | EVERYTHING MUST CHANGE |
12. | MAMBO BABY |
13. | ONE MORE TRY |
EC. | SOMEWHERE OVER THE RAINBOW |
2nd | |
1. | BLACK AND GOLD |
2. | ANYONE WHO HAD A HEART |
3. | A HOUSE IS NOT A HOME |
4. | TACOS, ENCHILADAS AND BEANS |
5. | READING RAINBOW - HI DEE HO |
6. | WAITING FOR CHARLIE TO COME HOME |
7. | THE VERY THOUGHT OF YOU |
8. | CARAVAN |
9. | WALKING IN THE SAND |
10. | MAMBO BABY |
11. | EVERYTHING MUST CHANGE |
12. | LONG AS I’M MOVIN’ |
13. | ONE MORE TRY |
EC. | SOMEWHERE OVER THE RAINBOW |