2019 9.5 thu., 9.6 fri., 9.7 sat., 9.8 sun.
MICHEL CAMILO with BIG BAND
artist MICHEL CAMILO
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
とんでもなく高度なことを、どこまでも親しみやすくポップに伝える・・・それこそミシェル・カミロの最大の魅力だとぼくは思っています。その人気者が、今年2度目のブルーノート東京公演を、超満員のオーディエンスを迎えて盛大に開催中です。
春は"トリオ・ラティーノ"での登場でしたが、今回はビッグ・バンド編成による最新作『エッセンス』をフォローするステージ。カミロが連れてきた盟友たちと、日本を代表する逸材が一体となった、大迫力のパフォーマンスは文字通り、時間の経過を忘れさせてくれました。セッティングの関係上、カミロの楽器はステージ下手側の思いっきり前に置かれ、しかも蓋が取り外されています。近くの席に座った方は、あのゴージャスなピアノ・サウンドを全身にシャワーのように浴びるという貴重な経験をなさったことでしょう。その右側にはベーシストのリッキー・ロドリゲスが立ち、後方左側にはパーカッション奏者エリエル・ラソ、右側にはドラマーのクリフ・アーモンドが位置します。オープニングは、マイルス・デイヴィスやソニー・ロリンズとの共演でも知られるパーカッション奏者サミー・フィゲロア(先ごろのジャズジャパン誌にインタビューが掲載されていました)に捧げた「And Sammy Walked In」。先発ソリストの竹村直哉が骨太なテナー・サックス・ソロを聴かせ、続くカミロのピアノは鳴り渡るホーン・セクションを突き破るように響き、クライマックスはトランペット・セクションとサックス・セクションのソリ(ソロの複数形)のかけあい。なかでもマイケル・フィリップ・モスマン(彼は'80年代に、ケニー・ギャレットらと共に"OTB"というバンドを組んでいました)を含む5人のトランペット奏者が生み出すアンサンブルは抜群に分厚く、きらびやかでした。
続いてはカミロのワールド・デビュー作(彼はアメリカからアルバムを出す前、日本のキングレコードに2作品を残しています)に参加していた巨匠モンゴ・サンタマリアの思い出を綴った「Mongo's Blues」。モンゴと同じくキューバ生まれのエリエルがチャント(朗詠)と打楽器でイントロ部分を担当し、やがて強烈にスウィングするバンド演奏へと移ってゆきます。ホレス・シルヴァーの「Senor Blues」にさらにひねりを加えたようなメロディ・ライン、リズム・パターンが印象的です。本田雅人のアルト・サックスがメロディを歌いあげる「Just Like You」に続いては、ドラムとパーカッションを除く全員が高速でテーマ・メロディをユニゾンする「Yes」へ。1917年に出版されたアメリカのポップ・ソング「(Back Home Again in) Indiana」のコード進行を基に、モスマンやカミロの華麗なアドリブ・プレイが火を噴きました。そしてラストは、カミロみずから"私の代表曲"と語る「On Fire」。会場からもひときわ大きな拍手が沸き起こり、白熱の即興の後、エンディングの大合奏が終わってエンディングかと思いきや、そこからモントゥーノ状態に突入。エリエルとメロディ楽器のバトルとなり、最後にもう一度、今度はさらに激しい大合奏へとなだれこんでステージは終了しました。公演は8日まで開催、10日はコットンクラブでソロ・ピアノ公演が行なわれます。
(原田 2019 9.6)
Photo by Takuo Sato
☆コットンクラブでは一夜限りのピアノ・ソロ公演も!
MICHEL CAMILO - piano solo -
2019 9.10 tue. 丸の内・コットンクラブ
2019 9.5 THU.
1st | |
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1. | AND SAMMY WALKED IN |
2. | MONGO’S BLUES INTRO |
3. | MONGO’S BLUES |
4. | JUST LIKE YOU |
5. | YES |
6. | ON FIRE |
EC. | ONE MORE ONES |
2nd | |
1. | MANO A MANO |
2. | LIQUID CRYSTAL |
3. | HELLO AND GOODBYE |
4. | PIECE OF CAKE |
5. | CARIBE |
EC. | REPERCUSSIONS |