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DANILO PÉREZ, JOHN PATITUCCI & BRIAN BLADE "CHILDREN OF THE LIGHT"

artist BRIAN BLADE , DANILO PÉREZ , JOHN PATITUCCI

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

まさに、"音の魔術師"の集いです。あまりにもマジカルな世界に引き込まれて「ここからどう展開していくのだろう」とワクワクしているうちに、あっという間にエンディングにたどり着いてしまいます。ダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドからなるユニット"チルドレン・オブ・ザ・ライト"の6年ぶりとなる来日公演が現在、ブルーノート東京で開催中です。

前回のステージではアルバム『Children of the Light』収録曲を主体に、オール・アコースティック楽器による幻想的かつ抽象的な音作りを繰り広げてくれましたが、今回の初日ファースト・セットからは、よりカラフルで躍動的な印象を受けました。そのアルバムからのナンバーは「Lumen」のみ、ほかのレパートリーは入れ替わっています。ダニーロはアコースティック・ピアノだけではなくエレクトリック・キーボードもたっぷり演奏し(2台を同時にプレイするパートもあります)、ジョンも、アコースティックに加えて6弦エレクトリック・ベースも縦横無尽に操ります。スティック、マレット、ロッズ、ブラッシュなどを使い分けるブライアンのドラム・セットからは、静寂からフォルテッシモまでが醸し出されます。誰かが誰かの伴奏に徹するような箇所は、私の耳にした限り、ありません。3人が同時にリードをとりながら即興的にアンサンブルを作り出してゆく、その過程に立ちあう面白さが味わえるのです。

前半で演奏されたのはダニーロの口笛から始まる「Whistle Through Adversity」、2014年発表のダニーロのアルバム『Panama500』に入っていた「Rediscovery of the South Sea」との関連性も気になる「Rediscovery Of The Pacific Ocean」。一つの楽曲の中に魅力的なモティーフが次から次へと登場し、まるで組曲のようです。ダニーロとブライアンは向かい合うように楽器をセッティングしてしきりにアイコンタクトをとり、ジョンは真ん中でアンカー(錨)のような重量感を放ちます。さかんに喜びの声をあげながら演奏する3人に、オーディエンスのテンションも高まるばかりです。「Alternate Realities」は活動家で教授のアンジェラ・デイヴィス(今年で80歳になるはずです)へのトリビュート・ナンバー。かつてジョン・レノンとオノ・ヨーコが「Angela」、ザ・ローリング・ストーンズが「Sweet Black Angel」を捧げたアンジェラへの、実に美しい楽曲です。また、ステージ後半では、ジョンが書きおろした「Wayne」も演奏されました。ダニーロ、ジョン、ブライアンは2000年から15年以上ものあいだ、ウェイン・ショーター・カルテットのメンバーでした。今は亡き"恩師"に向けて、6弦ベースを核に、実にスペイシーな音楽世界が繰り広げられていきます。

アルバム『Children of the Light』の発表から、はや9年。ニュー・アルバムの発表を望む気持ちは高まるばかりですが、まずは今、開催中の来日公演で名匠たちのプレイに触れてはいかがでしょうか。進行形ジャズを推進する最高峰ユニット、チルドレン・オブ・ザ・ライトのライヴ・ステージは4月25日まで行われます。
(原田 2024 4.24)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

DANILO PÉREZ, JOHN PATITUCCI & BRIAN BLADE
"CHILDREN OF THE LIGHT"
2024 4.23 tue., 4.24 wed., 4.25 thu. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2024 4.23 Tue.
1st
1. WHISTLE THROUGH ADVERSITY
2. REDISCOVERY OF THE PACIFIC OCEAN
3. ALTERNATE REALITIES
4. WAYNE
5. POINT OF NO RETURN
EC. LUMEN
 
2nd
1. WHISTLE THROUGH ADVERSITY
2. REDISCOVERY OF THE PACIFIC OCEAN
3. ONE FOR TONI
4. WAYNE
5. POINT OF NO RETURN

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