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AKIKO YANO TRIO

artist 矢野顕子

REPORT


矢野顕子トリオ-AKIKO YANO TRIO


● 公演初日リポート:矢野顕子トリオ



矢野顕子、ウィル・リー、クリス・パーカー。

名前を書き連ねるだけで、カラフルな音の応酬が聴こえてきそうです。と同時に、ぼくにとってこのメンバーは、“猫に縁のある方々”でもあります。

矢野顕子のアルバム『Oui Oui』のパッケージには、かごに入った2匹の猫が登場しています。クリス・パーカー率いる“Toph-E & The Pussycats”のファースト・アルバム『Live In Detroit』のジャケットにも猫があしらわれていました。ウィル・リーは、この“子猫バンド”にも参加しています。
3人とも相当の猫好きに違いない。ぼくはそう確信しながら、凄腕たちが紡ぐ技のじゃれあい、なつきあいに聴き入ったのでした。

矢野顕子がトリオ編成で「ブルーノート東京」に登場するのは2年ぶりです。そのときはアンソニー・ジャクソン、クリフ・アーモンドとの共演でした。どこへ連れて行かれるかわからないような、とてもスリリングなひとときだったのを覚えています。が、今回はなんというのでしょう、ライヴならではのスリルはそのままながら、よりファンキーな、弾力性を増したサウンドを楽しむことができました。
シンガーとしても著名なウィルが参加したことで、ハモリをフィーチャーした曲が増えたことも今年度の特徴です。「NEVER MY LOVE」(アソシエイションのカヴァー)、ニューオリンズ・ファンク風に料理された「THE LETTER」(ボックス・トップスのカヴァー。邦題「あの娘のレター」)等、’60年代のアメリカン・ヒッツが、“いまの表現”として蘇ってゆきます。ウィルのベース・プレイは、至芸のかたまりというべきもの。16分音符を駆使したバッキングも最高ですが、スロー・ナンバーにおけるロング・トーンの美しさにも心底しびれました。チェロの合奏団を、まるでエレクトリック・ベース1本で表現しているかのようです。

もちろんクリス・パーカーのドラムスも絶品でした。「ごはんができたよ」では前半をタムの連打で(ハイハットでリズムをキープしながら)、後半をシンバル中心で盛り上げていきます。5枚のシンバル、2個のスネアを駆使した彼のドラミングは、とにかくよく歌います。クリスは’70年代、伝説のグループ“スタッフ”に在籍して、スティーヴ・ガッドとツイン・ドラム編成で演奏していました。ガッドの持ち味を引き立て、同時に自分の魅力も存分にアピールするクリスは本当に見事でした。その懐の深さは、今なお光り輝いています。クリスほどチーム・プレイの見事なドラマーを、ぼくはほかに思いつきません。

曲目は本番直前に決まったとのことですが、「BAKABON」、「ROSE GARDEN」、先に触れた「ごはんができたよ」など、おなじみの曲もたっぷり聴くことができました(セカンド・セットでは、忌野清志郎に捧げた「きよしちゃん」も披露されました)。なにしろ矢野顕子、ウィル・リー、クリス・パーカーです。この3人がライヴで顔を合わせるのは本公演が初めてです。一体なにが飛び出すか、どんな曲がどんな装いで現れるか。最終日のラスト・セットまで、一瞬も気の抜けない世界が繰り広げられることでしょう。
(原田 2009/8/19)


● AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
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矢野顕子トリオ-AKIKO YANO TRIO

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