2025 1.6 mon. @Cotton Club / 2025 1.7 tue., 1.8 wed. @Blue Note Tokyo
JOEY ALEXANDER @COTTON CLUB
artist JOEY ALEXANDER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
インドネシアのバリ島に生まれ、10歳でアメリカ・デビューを果たし、満12歳の時にファースト・アルバム『My Favorite Things』を発表。現在21歳のピアニスト、ジョーイ・アレキサンダーの来日公演がついに始まりました。昨日はコットンクラブ(初出演)で目のさめるようなプレイを繰り広げてくれましたが、本日からはブルーノート東京での二日間公演が開催されます。シオ・クローカーをゲストに迎え、より多面的でポップな音楽性を打ち出したアルバム『Continuance』が好評のなか、嬉しいタイミングでのステージといえましょう。
コットンクラブでのステージは、「Stella by Starlight」から始まりました。バド・パウエル、ビル・エヴァンスといった伝説的巨匠からロバート・グラスパーまで、特にピアニストの間で取り上げられてきたスタンダード・ナンバーという印象を個人的には受けているのですが、ジョーイはソロ・ピアノによる長めの導入部で全鍵盤を駆使するかのような華やかなパフォーマンスを行い、やがてトリオが一体となった展開へと移り変わります。前回のブルーノート東京公演(2023年5月)にも同行したクリス・ファンは、ケニー・ギャレットやクリスチャン・スコットのバンドでも演奏したベーシスト。逞しい音色に加えて、イントネーションも抜群です。ジョーイのオリジナル曲にけっこう登場する、ピアノとベースのユニゾン・パートも、今回のライヴの大きな聴きどころであると思います。ドラマーのジョナサン・バーバーはテラス・マーティン、エリカ・バドゥ、マシュー・スティーヴンスらと共演、自身のグループ"ヴィジョン・アヘッド"でも圧倒的なプレイを聴かせる凄腕。ドラムの縁(ふち)なども使うアプローチ、豊かなメリハリに富む演奏ぶりは、このトリオの大きな推進力になっていました。
『Continuance』からは"白熱"といいたくなるような盛り上がりをみせた「Zealousy」、「Blue」等のオリジナル曲に加え、ボニー・レイットやジョージ・マイケルが歌った「I Can't Make You Love Me」(「夕映えの恋人たち」)などを届けてくれました。アコースティック・ピアノ、フェンダー・ローズ、メロトロンを併用するステージは前回の来日時と同様ですが、今回はより境目がないというか、アドリブの中でどんどん楽器を変えたり、左手でピアノ、右手でローズを弾きながら快演するパートもありました。また、メロトロンを弾きながらローズでアドリブを繰り広げると、ローズのバックに木管アンサンブルが鳴っているような響きが生み出されて、それもとても興味深いものでした。
ブルーノート東京公演は本日、明日と行われます。新章を描き続けるジョーイ・アレキサンダーの最新ステージに、ぜひ期待いっぱいにしてご来場ください!
(原田 2025 1.7)
Photo by Tsuneo Koga
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【LIVE INFORMATION】
JOEY ALEXANDER
2025 1.6 mon. コットンクラブ
2025 1.7 tue., 1.8 wed. ブルーノート東京