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SÍLVIA PÉREZ CRUZ & SALVADOR SOBRAL @BLUE NOTE PLACE

artist SALVADOR SOBRAL , SÍLVIA PÉREZ CRUZ

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ため息が出るほど見事な声の重なり、絶妙な呼吸、至高のハーモニー。

度重なる来日でおなじみの人気者シルビア・ペレス・クルスと、今回が初来日となるサルヴァドール・ソブラルのブルーノート東京公演が、本日から始まります。私は昨夜、恵比寿のBLUE NOTE PLACEで開催された公演「Sílvia Pérez Cruz and Salvador Sobral- Preview for Live at Blue Note Tokyo -」に足を運び、ふたりの歌声の魅力、哀感に富む旋律、客席と一体になってつくりあげていくようなフレンドリーなステージ進行に思いっきり浸りました。「今回の公演は全セット、忘れられないものになるだろう」という強い予感と共に、才人ふたりによる新プロジェクトのワールド・プレミア公演が日本で行われていることをとても嬉しく思います。

シルビアは、「スペインのアカデミー賞」ことゴヤ賞でも栄誉に輝くなど、演技の分野でも第一人者として知られています。昨年の公演では演劇的な要素も取り入れてオーディエンスを魅了しましたが、今回は、よりカジュアルな感じといえましょうか。サルヴァドールは、かつてアバやセリーヌ・ディオンなどが優勝したユーロビジョン・ソング・コンテストの2017年度のウィナーとなったポルトガルのシンガーソングライター。やはり大きな注目を集めているルイーザ・ソブラルは、彼の姉です。「絹のように滑らかな歌声」とは、サルヴァドールのためにある言葉なのではないかと思えるほど、美麗なアプローチを披露します。

BLUE NOTE PLACEで開催された公演は、アカペラの「Recordante」から始まりました。向かい合って歌うふたりの歌声が、会場を包み込むように響きます。日本語を読みあげながらのMCに続いて、ギタリストのダリオ・バロッソが参加、3人によるパフォーマンスへと移行してゆきます。ルイーザ作「Hoje Ja Nao E Tarde」は、同じフレーズを追っかけるように歌うかと思えば、異なるメロディを同時に歌ったり、一転して実に美しいハモリを聴かせたり、シルビアとサルヴァドールの卓越した"ヴォーカル力"のショウケースといえるような楽曲。ダリオの指弾きアコースティック・ギターも冴えわたり、ラストの「Muerte Chiquita」ではバイヨンとフラメンコが共存するような曲調を、ベース・ライン/和音/オブリガートの同時演奏(といっていいでしょう)と共に届けてくれました。

シルビアはライヴ中、「私たちの公演はエヴリバディーズ・ウェルカム。友達も誘ってぜひ見に来てくださいね」と語っていました。楽曲の制作年代もジャンルも言語の壁も飛び越えながらヴォーカル・ミュージックの奥深さを伝えるシルビアとサルヴァドールのブルーノート東京公演は、ダリオ・バロッソ、マルタ・ローマ、セバスティア・グリスをサポートに迎えたフル・メンバーで本日と明日、行われます。

(原田 2025 4.9)

Photo by Eiji Miyaji

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【LIVE INFORMATION】

SÍLVIA PÉREZ CRUZ & SALVADOR SOBRAL
2025 4.9 wed., 4.10 thu. ブルーノート東京
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