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THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
directed by SCOTTY BARNHART
"BASIE SWINGS THE BLUES"

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

御大カウント・ベイシーの生誕120年を祝福するにふさわしい、熱く、楽しく、無類にスウィングするライヴが繰り広げられています。

スコッティ・バーンハートがコンダクターを務める"ザ・レジェンダリー"カウント・ベイシー・オーケストラの来日公演が、盛大に行われているのです。しかも今年のそれは7日間連続の計14公演!12月に入ってからクリスマス・ソングが街中から聴こえるようになってきましたが、ジャズ・ファンにとってはベイシー楽団こそが"ビッグ・バンド・サンタ"、"スウィング・サンタ"になることでしょう。私はベイシー存命中のオーケストラのライヴに間に合うことができませんでしたが、フランク・フォスターがコンダクターに就任して以降の公演については足を運んでいます。そのフォスター時代、トランペット・セクションに在席していた若手がスコッティ・バーンハートでした。


それから約30年、すっかり風格を増した彼は、わかりやすく楽しいMC、粋な指揮ぶり、輝きを失わないトランペット・プレイで、超満員のオーディエンスをスウィングの航海に案内してくれます。この日のプログラムは、まるでベイシー・オーケストラの広大な歴史そのものへと案内してくれるかのようでした。
先ごろ亡くなったクインシー・ジョーンズ作「The Midnight Sun Will Never Set」(デイヴ・グラッサーのアルト・サックスをフィーチャー)、ニール・ヘフティ作「Duet」「Pensive Miss」など1952年の再結成以降のいわゆる"新約聖書時代"(the New Testament Band)時代のナンバーだけではなく、アール・ウォーレン作「9:20 Special」、バック・クレイトン作「Avenue C」など創設から1950年までの、いわゆる"旧約聖書時代"(the Old Testament Band)時代のいささか通好みになってしまった感もある名曲群も次々とプレイし、さらにベイシー健在の頃にルーレット・レーベルに録音を残しているクリスマス・ソング「Jingle Bells」も現在に蘇らせてくれました。


この日、演奏されたもうひとつのクリスマス・ソング「I'll Be Home for Christmas」は、ここ数年不動のリズム・セクションとなっているレジ―・トーマス(ピアノ)、ウィル・マシューズ(ギター)、トレヴァー・ウェア(ベース)、ロバート・ブーン(ドラムス)の4人だけによる演奏。昨年の公演でも披露されましたが、今回はよりゴスペルやブギウギ色を強めた展開になっており、場内からは自然に手拍子が巻き起こりました。50年代から60年代にかけてのベイシー楽団の大きな魅力のひとつに、"2フランクス"ことフランク・ウェスとフランク・フォスターのサックス競演がありました。そして現ベイシー楽団で絶大な存在感を発揮しているのは、ダグ・ローレンスとダグ・ミラーによるサックス競演です。"2ダグス"の息ぴったりの掛け合いが楽しめた「9:20 Special」と「Jumpin' at the Woodside」もまた、ライヴのハイライトであったことはいうまでもありません。

さまざまなオーケストラ、ラージ・アンサンブルが多彩な個性で楽しませてくれる現在ですが、「ビッグ・バンドの王道」に浸るのであればベイシー楽団は絶対的存在です。来年で創設90年を迎える超名門のライヴ・ステージをご満喫ください。公演は12日まで連日、開催されます。
 
(原田 2024 12.8)

Photo by Yuka Yamaji


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【LIVE INFORMATION】

THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA 
directed by SCOTTY BARNHART 
"BASIE SWINGS THE BLUES"
2024 12.6 fri., 12.7 sat., 12.8 sun., 12.9 mon., 12.10 tue., 12.11 wed., 12.12 thu. ブルーノート東京
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