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STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2025
featuring WALT FOWLER, TRAVIS CARLTON, MITCHEL FORMAN, DUKE GADD & TOSHI YANAGI

artist STEVE GADD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

1月16日の愛知・東海市芸術劇場公演を皮切りに、三島、金沢、札幌、幕別で快演し、各地のファンを沸かせてきたスティーヴ・ガッド・バンドのブルーノート東京公演がついに始まりました。音楽の魅力を熟知した凄腕メンバーが常に集まっているガッド・バンドですが、今回のラインナップはガッド、ウォルト・ファウラー(フリューゲルホーン、トランペット)、トラヴィス・カールトン(ベース)というおなじみの顔ぶれに、愛息デューク・ガッド(パーカッション、ヴォーカル)、ミッチェル・フォアマン(ピアノ、キーボード)、トシ・ヤナギ(ギター)を加えた結成。ヤナギはマイケル・ランドウがロサンゼルスの山火事の影響を受けて出演キャンセルとなったことを受けての参加ですが、ロックやブルースのテイストを感じさせる演奏ぶり、ニュアンスに富む音色、巧みなアーミングは、けだし見事。私は矢沢永吉のコンサートで何度か彼のプレイに接していますが、このバンドでは即興演奏家としての持ち味もたっぷり届けてくれます。

1曲ごとにガッドがマイクを握り、曲名と作曲者を紹介してくれるのも実に親切です。フォアマンはスタン・ゲッツやジェリー・マリガンのバンドで腕を磨き、ビル・エヴァンスに捧げたアルバム『Now And Then』も出しているアコースティック・ピアノの達人。この日も詩的なピアノ・タッチを十分に生かしながら、ときにエレクトリック・ピアノやシンセサイザーで彩りを添えました。デューク・ガッドはコンガ、カウベル、ティンバレスなどを演奏し、キース・ジャレット作「Windup」の途中では、父のドラムと熱狂的なデュオも披露。さらにステージ前に出てリチャード・ティー作「Bottom Line」を歌いました。ライヴではまた、抒情的な「Duke's Anthem」が久々に演奏されたのも、超満員のファンを喜ばせたことでしょう。ウォルトが、フランク・ザッパのバンドなどで共に演奏したキーボード奏者ジョージ・デュークの死を悼んで書いたナンバーで、19年には杏里が歌詞をつけて「Duke's Anthem~星空のどこかで~」という題名でレコーディングしています(バックにはガッド・バンドが参加)。作者によるフリューゲルホーン吹奏はまるで歌っているかのよう、その後に登場するピアノとギターのフレーズの掛け合いも鮮やかでした。

御大スティーヴ・ガッドのプレイは深みのある音色(2つのフロア・タムが絶妙な効果をあげていました)、ニュアンスに富む打撃、タメの利いたサポートからいざという時の炸裂ぶりへの変化など、至芸というしかありません。それを近距離で浴びる喜びはどんな言葉にも勝ることでしょう。来たる4月に満80歳を迎える超人スティーヴ・ガッドと、その仲間たちの"境地"を満喫できるブルーノート東京6デイズは31日まで続き、2月2日にはツアー千秋楽が高崎芸術劇場 / スタジオシアターで開催されます。

(原田 2025 1.25)

Photo by Photo by Takuo Sato


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【LIVE INFORMATION】

STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2025 

featuring WALT FOWLER, TRAVIS CARLTON, MITCHEL FORMAN, DUKE GADD & TOSHI YANAGI

1.16 thu. 東海市芸術劇場
1.17 fri. 三島市民文化会館 大ホール
1.18 sat. 金沢歌劇座
1.21 tue. 札幌 共済ホール
1.22 wed. 幕別町百年記念ホール
1.24 fri., 1.25 sat., 1.26 sun., 1.29 wed., 1.30 thu., 1.31 fri. 
ブルーノート東京
2.2 sun. 高崎芸術劇場
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