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MACEO PARKER

artist MACEO PARKER

REPORT

はじめまして。音楽ライターの原田和典です。
今回から「Bloggin' BNT」と題し、ブルーノート東京で行なわれる
ライヴのリポートを中心にお届けすることになりました。
リラックスしてお楽しみいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします!


Maceo_Top.jpg (← こちら、メイシオご本人様です、ぼくではありません)

メイシオ・パーカーの真髄はライヴにあり、といわれます。

一度体験するとたちまちとりこになり、ステージが終わる頃にはすっかり中毒状態に。彼が来日するごと、公演に足を運んでいるというファンも数多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ぼくもそのひとりです。

とにかく、楽しい。そしてかっこいい。あのサックスの音色が耳に飛び込んでくるだけで、自然に体が揺れて、目じりが下がり、ほほがゆるみます。

ステージでのメイシオは本当に表情豊かです。サックスを吹くだけではなく、歌い、踊り、ファンに語りかけ、とことんまで盛り上げてくれます。だけど、けっして音楽自体が荒っぽくなることはない。締めるところはビシッと締める。それこそメイシオ、真のプロフェッショナルである所以です。
この日のプログラムは、かつて彼のボスであったジェームス・ブラウンのあの曲あり、ポール・マッカートニーの名曲あり、もちろんソロ・アルバムからの人気曲もてんこ盛り。「ジョージア・オン・マイ・マインド」では、あの人(ジニアス・オブ・ソウルと呼ばれる巨匠です)のモノマネまで見せてくれました。

バンド・メンバーも以心伝心といいましょうか、頼もしいリーダーの手足と化したかのように小回りを利かせて動きます。11人の大所帯が一丸となったときの濃さ、力強さはまさに“ソウル・パワー”ですね。

トロンボーンのデニス・ロリンズが参加していたことも個人的には大きなポイントでした。かつてスティーヴ・ウィリアムソン(‘90年代初頭に、ものすごい勢いで売り出したサックス奏者です。近況をきかないのが残念ですが・・・・)やコートニー・パインのバンドで怪物ぶりを印象づけた彼が、さらに貫禄を増して日本に戻ってきたのですから、これはもう、実に心憎い人選であると言ってよいでしょう。
あともうひとつ、このステージで嬉しかったのはルイ・ジョーダンの曲を取り上げてくれたことです。

ルイ・ジョーダン、ご存知でしょうか。ロックやR&Bも元をたどればこの人に行き着くといわれる大エンターテイナーです(B.B.キングやチャック・ベリーにも大きな影響を与えています)。クリクリした目、華やかなたたずまい、力強いサックス・プレイ、粋な歌声などジョーダンとメイシオの間には共通点がいっぱいです。もっともジョーダンが大ヒット曲を連発したのは1940年代なので、メイシオはまだ生まれたか生まれていないかの頃ですが、彼がノリノリで歌い、サックスを吹く「ラン・ジョー」にぼくは、強くて分厚い“エンタテインメントの血脈”を感じて、なんだかとてもいい気分になりました。




<< プロフィール・原田和典 >>
1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。

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