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TERENCE BLANCHARD

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原田和典の公演初日リポート : TERENCE BLANCHARD



映画音楽の作曲家、トランペッター、バンド・リーダー。そのすべてを見事にこなしているのがテレンス・ブランチャードです。
考えれば考えるほど、これはすごいことです。

映画音楽で成功を収めると、そちらのほうにかかりっきりになったとしても不思議ではありません。実際、「E.T.」、「ハリー・ポッター」、「インディ・ジョーンズ」などの音楽を担当したジョン・ウィリアムスは、かつてジョン・タウナー・ウィリアムスという名のジャズ・ピアニストでした。しかし映画の仕事に集中するためにでしょうか、ジャズから遠ざかっていきました。

しかしテレンスは今日もステージに立ちます。愛用のモネ製トランペットで、心から信じるジャズを吹きまくります。そこには、“映画音楽のマエストロ”と呼ぶべき姿はありません。ただただ熱血なジャズ・トランペッターの姿だけがあります。加えて、MCが絶品です。必要最小限のことしかしゃべらないのですが、その声の低く、よく通ること。軽々と高音をヒットするトランペット・プレイとは本当に好対照な“魅惑の低音”もまた、テレンスの魅力といえましょう。

新たなサックス奏者にウォルター・スミス3世を加えた“テレンス・ブランチャード・クインテット”が発足したのは今年が明けて間もなくのことです。2月にはニューヨークの名門クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」で公演を行ない、米国最大のジャズ・ウェブサイト“オール・アバウト・ジャズ”で絶賛されました。その好調を維持したまま彼らは東京に降り立ってくれました。録音したばかりの新作からの曲を中心に構成された約90分のステージは、胸がスカッとするようなド真ん中のジャズでした。

今春のグラミー賞では「ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・ソロ賞」に輝いたテレンス。トランペッターとして、音楽家として、彼は今、真の旬を迎えています。絶好調のテレンス・ブランチャード・クインテットを、ぜひご堪能ください!
(原田 2009/3/26)

3/26 fri - 29 sun, TERENCE BLANCHARD
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