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TOWER OF POWER

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原田和典の公演初日リポート:TOWER OF POWER


さあ、遂にこの時がやってきました。タワー・オブ・パワーの再登場です。

昨年、めでたく結成40周年を迎えた彼ら。それを記念してブルーノート東京で行なわれた公演は、早くも伝説と化しています。ぼくの回りにいるファンたちも、異口同音に“あのライヴは本当に、ほんっっとおーに凄かった・・・・”と目を細めております。

が、今年のタワー・オブ・パワーも相変わらず凄いです。エンジン全開です。伝説、つくりつづけています。「俺たちは41年間、ソウル・ミュージックをやっている。相変わらずずっとジェームズ・ブラウンに夢中なんだ」。脈打つようなリズム・セクション、押し寄せるホーン・セクション、ハイ・トーンがたまらなくセクシーなラリー・ブラッグスのヴォーカル。これで興奮せずにいられましょうか。

話は飛びますが、ぼくとタワー・オブ・パワーとの一方的なつきあいは35年以上になります。家庭の事情により、ぼくは子供の頃から、さまざまな洋楽を聴いて育ちました。ある日、父親が満面の笑みをたたえて、レコードを買ってきたのです。そして“これはいいぞ、おまえも聴け”といいながら、大音量でそれをかけました。イントロが終わる頃、すでにぼくは圧倒されていました。アルバム・タイトルは『イースト・ベイ・グリース』、タワー・オブ・パワーのデビュー作です。オープニングは「KNOCK YOURSELF OUT」という曲でしたが、文字通り幼いぼくは彼らのサウンドにノックアウトされてしまったのでした。

まだ話を続けさせてください。ぼくが日本語の歌を本格的に聴くようになったのは1980年代に入ってからのことです。なかでもRCサクセションが好きでした(今もです)。彼らの作品を追いかけるうち、『シングル・マン』というアルバムに出会いました。しょっぱなから、ブリブリのホーン・セクションが唸ります。ファンキーです。ソウルフルです。日本のバンドにもこんな音を出せるひとがいるんだ、まるでタワー・オブ・パワーみたいだぜと、ぼくは思ったものです。が、そのサウンド、なにをかくそうタワー・オブ・パワー自身のものでした。彼らが来日したときをとらえて、どこかの粋なスタッフがRCサクセションとのセッションを企画し、それがレコード化されたというわけです。

なので、ぼくにとってタワー・オブ・パワーという存在は実に身近で、彼らの曲を聴くと、自分の短くはない人生にまつわるいろんな事柄をも思い出して、ときに愉快になったり、ときに切なくなってしまったりもします。そして、エミリオ・カスティロ、デヴィッド・ガリバルディ、フランシス・ロッコ・プレスティア、スティーヴン・“ドッグ”・クプカといった重鎮たちは自分の生まれる前から第一線に立ち、ソウル・ミュージックに生涯を捧げているのだなあと思うと、なんだか胸の奥がカーッともしてくるのです。あのデカくて重いバリトン・サックスを首からさげて、跳ねたり踊ったりするクプカの、なんと楽しそうなことでしょう。ミュージシャンが楽しみ、それがオーディエンスに伝わり、さらにそれがミュージシャンにフィードバックされ、またそれがオーディエンスに・・・という“幸せな循環”が、この夜には充満していました。

タワー・オブ・パワーの偉大なソウル・スピリットと、素晴らしいチームワークに乾杯!

そうそう、ソウルといえば、6月後半に公演が予定されている、ラファエル・サディーク
この人は楽しみです。筋金入りのオーガニック・ソウル・ショーに期待大です。
(原田 2009/5/22)


5/22 fri - 5/25 mon, 5/30 sat. - 5/31
TOWER OF POWER
"Great Amerivan Soulbook"

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