2009.06.05
グレッグ・フィリゲインズとエヴァレット・ハープ
artist TERRI LYNE CARRINGTON
原田和典の公演レビュー:TERRI LYNE CARRINGTON ... Vol.2
- Everette Harp (sax) & Greg Phillinganes(key)
本日はテリ・リン・キャリントン・バンドで来日予定の2人のミュージシャンについて紹介しましょう。
まずはサックス奏者のエヴァレット・ハープです。1961年、テキサス州ヒューストンに生まれた彼は、名門ノース・テキサス州立大学(ジャズ・ビッグ・バンドに異様に力を入れていることでも知られています)卒業後、‘88年からロサンゼルスで活躍。アニタ・ベイカーのツアーでも演奏しました。
初来日は、ぼくの知る限り‘91年の野外フェスティヴァル「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」に、マーカス・ミラーのバンドの一員として出たときではなかったかと思います。そのときは、正直いって“デヴィッド・サンボーンの代役”という印象を受けたのですが、演奏曲が「ラン・フォー・カヴァー」や「シカゴ・ソング」なのですから、あえてそういうアプローチをとっていたのかもしれません。ソロ・アルバムでの彼は、けっして“誰だれのよう”と形容できるようなミュージシャンではないからです。2006年発表の『イン・ザ・モーメント』は、とあるコンテンポラリー・ジャズ・チャートで1位を獲得しました。
● Live Under The Sky '91
ぼくは今年3月、「JAVA JAZZ FESTIVAL」でハープのグループを楽しんでまいりました。「ジャカルタ・コンヴェンション・センター」という、とてつもなく広い建物の中で2番目に大きなホールで演奏しましたが、もちろんオールスタンディングのすし詰め超満員です。そこでは踊りながらサックスを吹き、いわゆるスムース・ジャズ的なプレイに徹していましたが、そんなエヴァレットが、テリ・リンのドラムスをバックにどんなブロウを聴かせてくれるのか、興味しんしんです。
キーボードのグレッグ・フィリンゲインズは、“アメリカのポピュラー音楽界にこの人あり”といわれるほどの重鎮です。
1956年、ミシガン州デトロイトに生まれた彼は、20歳のときにスティーヴィー・ワンダーのバック・バンドに参加。この天才と5年間、活動を共にします。その後はクインシー・ジョーンズとの交流を深め、当時の“クインシー・ファミリー”というべきマイケル・ジャクソンやジョージ・ベンソンのサポート、さらにポール・マッカートニー、アレサ・フランクリン、アトランティック・スター、パティ・ラヴェル、エリック・クラプトン等ともコラボレーションを展開しました。マイケルの「BAD」と「Dangerous」のツアーでは、音楽監督も担当しています。そして2005年からはTOTOに正式参加、先日の活動休止まで多彩なキーボード・プレイでバンドの音作りに貢献しました。
重鎮グレッグの生演奏を、しかもクラブで楽しむことができるのは世界的にもレアなことではないでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=7mSq4mjItLI
● ♪ 愛のコリーダ
:'81 のクインシー・ジョーンズ来日公演、しっかり出てきます!
● マイケル・ジャクソン\n:あの "スリラー"のキーボード・パートを奏でていた張本人です。
● TOTO のメンバーとして、歌ってます。
テリ・リンとグレッグが「ブルーノート東京」で出会い、果たしてどのようなケミストリーを生み出すのか、こちらも興味が尽きません!
(原田 2009/6/5)
6/13 sat - 16 tue
TERRI LYNE CARRINGTON GROUP
〜・〜プロフィール・原田和典 〜・〜
1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。
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