2009.08.03
DIANE SCHUUR
artist DIANE SCHUUR
公演初日リポート : DIANE SCHUUR
ダイアン・シューアを“まるでひまわりのようなひとだ”と形容した知り合いがおります。別の方は、彼女のライヴを見て“太陽のように明るいキャラクターの持ち主”と言いました。
それほどダイアンは華やかで、その場を和ませる力に溢れています。彼女にとっては、オーディエンスみんなが友達なのでしょう。ステージに登場するや否や、“ヨガをやって1年間で50ポンド減ったのよ”と語りかけ、いきなり客席を驚かせるダイアン。ですが、最初の1音をピアノから導き出し、歌い始めるやいなや、その姿は超一流アーティストのものに変貌します。表情豊かな歌声、その歌に寄り添うようなピアノ・タッチは、まさしく彼女ならではのもの。「TAKING A CHANCE ON LOVE」を皮切りに、「THEY SAY IT'S WONDERFUL」など、極めつけのラヴ・ソングを次々と紹介してくれました。前半をベースとヴォーカルのデュオで聴かせてくれた「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」では、“Tokyo Blue Note!”というシャウトも。曲が進むうちに、ぼくはダイアン宅の居間でリラックスしながら楽しんでいるような気分になりました。
バック・メンバーも、“気心が知れた”という表現がぴったりのプレイでした。ぼくがとくに目を見張ったのは、レジー・ジャクソンのドラムスです。曲によっては、けっこうガンガンと叩いているのですが、ちっともうるさくなく、常に歌を引き立てているのです。なんて細やかなプレイをするドラマーなのだろうと、ぼくは感心しっぱなしでした。デューク・エリントンの名曲「IT DON'T MEAN A THING」では、ブラッシュとスティック両方を使ってドラム・ソロを披露。そのプレイが見事に決まったときの、ダイアンの嬉しそうな表情が忘れられません。
欲をいえばダイアンのピアノをフィーチャーしたインストゥルメンタル・ナンバーも聴きたかったところですが(彼女のピアノは実に味わい深いのです)、今日あたり、それも披露してくれるかもしれませんね。
真夏のジャズ・クラブで、ダイアンの“太陽”を思いっきり浴びてください。
(原田 2009/8/2)
● DIANE SCHUUR
8/2 sun. - 8/5 wed.
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1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。
ブログ:http://haradakazunori.blog.ocn.ne.jp/blog/
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