2009.09.23
EDDIE PALMIERI
artist EDDIE PALMIERI
公演初日リポート : EDDIE PALMIERI
エディ・パルミエリが1961年に結成した“ラ・ペルフェクタ”は、トロンボーンをフィーチャーしたバンドです。
それまでのラテン・ユニットはトランペットが主で、どちらかというとトロンボーンは“従”でした。エディはその“従”をメインにした新たなサウンドを創造します。結果、音の重心がグッと下がり、響きにまろやかさが増しました。「ラテンとトロンボーンって、どうしてこんなにピッタリ来るんだろう」と、ぼくはエディやモン・リベーラの作品を聴くごとに思います。そういえばジャズ・フルート奏者のハービー・マンもラテンに凝っていた時代、複数のトロンボーンをフィーチャーしていましたね(アルバム『スタンディング・オヴェイション・アット・ニューポート』など)。
その“ラ・ペルフェクタ”が約40年の歳月を経て復活アルバム『LA PERFECTA II』を出したのは2002年のこと。もちろんぼくはすぐに購入し、当時働いていた雑誌に文章を書いた記憶があります。来日公演があればすぐに駆けつけるぞ、と決意しましたものの、2002年11月のブルーノート東京公演は見に行く事ができませんでした。
しかしその後、待てど暮らせど彼らは日本に来てくれません。その間、エディはさまざまなバンドで我が国を訪れ、さすがのパフォーマンスを聴かせてくれましたが、それはトロンバンガとは別種のものでした。
が、ついにこの9月、“切り札”が飛び出しました。ラ・ペルフェクタIIが今まさに、「ブルーノート東京」で、白熱の宴を繰り広げているのです!!
しかもメンバーが最高です。ここだけの話ですが2002年のアルバムより粒が揃っています。フルートを吹いている女性はなんと、カレン・ジョセフではないですか! 個人的には実に嬉しい名前です。グラント・グリーンの『イージー』、リチャード・グルーヴ・ホームズの『ダンシング・イン・ザ・サン』、コーネル・デュプリーの『シャドウ・ダンシング』など、70年代後半のジャズ・ファンク作品によくクレジットされていました。ジャズとラテンを行き来するフルート奏者は、前述のハービー・マン、デイヴ・ヴァレンティン、ヒューバート・ロウズなど数多いですが、カレンの豊かな音色、起伏に富んだフレージングも、実に聴きごたえのあるものでした。どうしてフルートはこんなにラテンと相性がいいのでしょう。
肝心のトロンボーン・パートはジミー・ボッシュとクリス・ウォッシュバーンが担当しました。ボッシュは“現代ニューヨーク・サルサにこの人あり”といわれるベテラン。ルベーン・ブラデス、マーク・アンソニー、セリア・クルース、アルトゥーロ・オファリール等、数多くのミュージシャンと共演してまいりました。この日のステージは彼がリードをとり、クリスがハーモニーをつけることが多かったように感じました。クリスは数年前からハーレムに程近い「スモーク」というクラブで週1回、ラテン・ジャズのライヴを開催して評判を呼んでいる若手奏者です。そのスケジュールを中断してまで日本に来てくれたのか、と、ぼくは彼の気合の入った吹きっぷりに酔いしれました。
御大エディも、活火山ぶりを大いに発揮してくれました。登場するなり「今夜はサルサだー」とシャウトし、鍵盤に分厚い手のひらを降ろします。声を発しながら自由奔放なアドリブをとり、リズミカルなコード(和音)で他のソリストをサポートし、バック・コーラスをつけ、ピアノを引く手を休めたと思ったらクラーベの手拍子を始めるエディは、ほんとうに精力的です。「休む間もなく音楽する」というのは、こうした状態をいうのでしょう。
ラ・ペルフェクタというグループ名は、“完璧”という意味です。が、この“完璧”はまだまだ発展し、進化し続けるに違いありません。
本当にものすごいライヴです。見逃すと後悔します。彼らの登場は土曜日まで続きます。興奮と熱気に、体当たりしてきてください!
(原田 2009/9/22)
● 2009 9/22tue.-9/26sat.
EDDIE PALMIERI Y LA PERFECTA II
coming soon