2009.11.13
MATTHEW GARRISON TRIO
artist MATTHEW GARRISON
公演初日リポート:MATTHEW GARRISON TRIO
いやー、すごいライヴです。まだ興奮から醒めません。SPECTACULAR!と、慣れない英単語を使いたい気分です。
現ホイットニー・ヒューストン・バンドのレギュラーであり、ハービー・ハンコックやジョン・マクラフリンのバンドにも在籍経験があり、そして何よりもジョー・ザヴィヌル率いる“ザヴィヌル・シンジケート”のメンバーであったマシュー・ギャリソン。
少年時代にディジー・ガレスピーを驚かせ、その後もミシェル・カミロ、パキート・デリヴェラ等、数多くのミュージシャンと共演。ロビー・アミーンとの2ドラムス・ユニット“エル・ネグロ&ロビー・バンド”でも素晴らしいプレイを聴かせたオラシオ・エル・ネグロ・エルナンデス。
晩年のジョー・ザヴィヌルの友人であり、あのシンセサイザーの音色の殆どをプログラミングしていたキーボード奏者のスコット・キンゼイ。
この3人が集まったザヴィヌル・トリビュートなど、海外でもなかなか聴く機会はないでしょう。
それが今、日本にいながらにして聴けるのです!
正直言って開演前のぼくには、ちょっと不安もありました。「こっちはガキの頃からザヴィヌルの音楽を聴いてるんだ、ぬるいトリビュートなんかやったら承知しないぜ」という気分で、いささか興奮しながらクラブに足を運んだのが正直なところです。
が・・・そこはさすがマシュー、オラシオ、スコットです。むちゃくちゃかっこよくてクールです。ザヴィヌルの当たり曲を並べたり、ザヴィヌルのレコードやCDみたいな演奏をすることはゼロでした。ぬるいなんてとんでもない、火花の散るようなパフォーマンスです。ザヴィヌルへの愛を根底に持ちながら、彼らは未来に向かって音を出します。
チョーキング、ハーモニクスも思いのまま、まるでベースとギターと管楽器を兼ねているようなサウンドで雄弁かつ図太く迫るマシューの5弦ベース。本当に2本の手足で演奏しているのか目を疑わずにはいられないオラシオのドラムス(バスドラ、カウベル、ハイハットを瞬時に踏み分ける左足がとくに凄い!)、そしてなまめかしい音色で鍵盤をかけめぐるスコットのキーボード。いいです、すごいです。
そしてぼくは思いました。この公演を、ひとりでも多くのひとに聴いてもらえたら、と。近くの席で見れば、メンバーの指使いもじっくり見ることができます。後ろの席で3人の音色のブレンドに酔いしれるのも趣があります。でも、まず聴かなければ彼らの真髄は体感できません。
マシュー、オラシオ、スコットの名前になじみのない方もいらっしゃるでしょう。ですが、ぜひとも時間をやりくりして聴きに行っていただければと思います(ライヴは土曜日まで続きます)。「ああ、行ってよかった」、「聴いてよかった」という気分になるはずですから。
(原田 2009 / 11/12)
coming soon