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DAVID SANBORN GROUP

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デヴィッド・サンボーン-DAVID SANBORN


公演初日リポート:DAVID SANBORN GROUP


「おかえりなさい、待ってたよ!」
そう声をかけたくなったファンも多いのではないでしょうか。ミスター・ワン&オンリー、デヴィッド・サンボーンの堂々たる帰還です。
リッキー・ピーターソン、ニック・モロック、リチャード・パターソン、ジーン・レイクというバック・メンバーも、もうすっかりおなじみになりました。気の合うメンバーと、お気に入りの曲を、思う存分ブロウする。そんなサンボーンをクラブで味わえるなんて、アメリカでもなかなかあることではありません。
ぼくは90年代の初めからサンボーンのライヴに接していますが(おそらく20回は聴いていると思います)、年々アドリブがどんどんアグレッシヴになっている気がします。そしてバンド全体のサウンドが、よりブルージーというかR&B的になっているような気がします。セントルイスで暮らしていた10代の頃、ブルースからフリー・ジャズまでなんでも演奏していたという経験が以前にも増して、ごく自然に音に現れているように思うのです。定番の曲であってもアレンジには新味がこらされていて、「FULL HOUSE」では途中からリズム・パターンをJB’sの「DOING IT TO DEATH」風にチェンジ(4拍目を長く引っ張る)、「SOUL SERENADE」では、ジミー・フォレスト(少年時代のサンボーンに大きな影響を与えたサックス奏者)のヒット曲である「NIGHT TRAIN」のフレーズが挿入されていました。
「TIN TIN DEO」は、トランペット奏者ディジー・ガレスピーとキューバの打楽器奏者チャノ・ポソの共作です。いわゆるAABC形式でワン・コーラスが構成されているのですが、サンボーンはこのAA部分だけを使い、アップ・テンポで演奏するのですが、これがまた、ものすごい疾走感なのです。よくチューンナップされた大型レンジローバーでサファリのど真ん中を全速力で走っているような感じ、といえばいいでしょうか。メンバーの誰もが、なにかにとりつかれたようにノリまくります。なかでもジーン・レイクのドラムスの切れ味は絶品でした。かつてサンボーン・バンドにはドン・アライアスという鬼才パーカッション奏者が加わっていました。しかし彼が亡くなった後、その座は空席が続いています。アライアスに代わるプレイヤーはいないということなのでしょうが、レイクのドラムスは打楽器奏者の不在を補って余りある大活躍でした。
新作『ONLY EVERYTHING』の発表も目前のサンボーンですが、その長く輝かしいキャリアの中でライヴ・アルバムは『STRAIGHT TO THE HEART』と『CASINO LIGHTS』だけです。といっても前者は後日スタジオで編集やオーバーダビングを加えたものであり、後者は他のバンドとのコンピレーション形式。つまりサンボーンの生演奏の凄さをフルで味わうためには、ディスクではラチがあかないのです。実際にライヴ会場に足を運ぶしかないのです。
サンボーン・バンドは5日まで「ブルーノート東京」に出演し、他の都市でプレイした後、10日から12日まで再び「ブルーノート東京」のステージに立ちます。ソウルフルでエモーショナルな夜を、存分にお楽しみください。


● 12/3thu.-5sat., 12/10thu.-12sat.
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