2009.12.15
DIONNE WARWICK
artist DIONNE WARWICK
公演初日リポート:DIONNE WARWICK
ついにこの日が来ました。ディオンヌ・ワーウィックの公演です。
‘72年以来、何度か来日しているディオンヌですが、ジャズ・クラブでのパフォーマンスは、もちろん今回が初めてです。世界のエンターテインメントのトップに立つ彼女を、こんな近くの距離で見聴きできるなんて、われわれはなんとラッキーなのでしょう。
愛息デヴィッド・エリオットが見事なオープニング・アクトを務めたあと、待ちに待った女王のステージが始まります。プログラムは、いきなりバート・バカラック・ナンバーで始まりました。さすがディオンヌ、ファンの心を一瞬にしてつかんでしまいます。
「Walk on By」、「I'll Never Fall in Love Again」、「I Say a Little Prayer」等が次々と登場、イントロが出ると同時に会場は沸きに沸きます。
皆さんはこれまで、いろんなライヴでいろんなミュージシャンが歌ったり演奏したりするバカラック・ナンバーを聴いてこられたことでしょう。しかしディオンヌの歌うバカラックには、そのどれとも違う重み、風格があります。ぼくも、ついに、ああやっと“正調”をナマで聴くことができた、という気持ちに満たされました。
だからといって彼女は別に'60年代と同じように歌っているわけではありません。声にはキャリア相応の渋み、年輪が加わり、メロディもフェイクされています。
とはいえ「なんだ、レコード通りに歌うわけじゃないのか」と解釈しては、ライヴを味わう醍醐味が半減します。'60年代には'60年代のディオンヌにしか表現できない世界があり、現在のディオンヌには現在のディオンヌだからこそ表出できる滋味に満ちているのです。
ぼくは2009年12月現在の彼女が歌う数々のラヴ・ソングに、時間を忘れて聴き入りました。ときおりジョークを交えながら、リラックスしつつ、でも丁寧に1曲1曲を歌い上げていくディオンヌ。ものすごい大スターのはずなのに、近寄りがたさは少しもありません。彼女はきっと、オーディエンス全員と握手するような気持ちでステージを繰り広げていたのでしょう。外の寒さを吹っ飛ばす、心底からだが暖まる公演でした。
※以下、マニアックな追加を・・・
デヴィッド・エリオットの父親は故ビル・エリオット(ドラムス)とのこと。ビル・エリオットのプレイは、オルガン奏者ジャック・マクダフの1960年作品『Tough ‘Duff』等で聴くことができます。
ソロ・デビュー前のディオンヌが聴ける音源がCD化されています。オルガン奏者ローダ・スコットの『ファンキー・ソウル・オルガン』という作品です。ディオンヌはザ・シャウターズというコーラス・グループの一員として参加(ディー・ディー・ワーウィックとの姉妹共演)。ゴリゴリのR&Bです。ちなみにドラムスはビル・エリオットが叩いています。
(原田 2009/12/14)
● 12/14mon.-12/16wed.
DIONNE WARWICK
coming soon