2010.01.25
ROBERTO FONSECA
artist ROBERTO FONSECA
公演初日リポート:ROBERTO FONSECA
ひとつの雄大な物語に立ち会っているような気分になりました。
最初はごくおごそかに始まり、徐々に加速し、最後は飛びきりのファンキー・ナンバーでクラブ中を興奮の渦に巻き込む。そのコントラストがたまりません。ちょっと品のない表現になってしまいますが、この日のロベルト・フォンセカ・グループは間違いなく、オーディエンスを手玉にとっていました。
ぼくがロベルトの演奏を初めて聴いたのは確か第1回目の「東京JAZZ」でした。大ベテラン・シンガー、オマーラ・ポルトゥオンドとの共演は蒸し暑い野外スタジアムを涼しくしてくれました。音楽のために設営された会場ではないので音響はいまいちでしたが、それでもロベルトのピアノは美しく、際立ったサウンドを発していました。「このピアノ・タッチをぜひ音のいいライヴで味わいたい」と思ってから数年、待ったかいがありました。今、目の前でロベルトがピアノを弾いています。プレイもルックスも、以前よりずっと貫禄がつきました。“注目のニュー・スター”から真のスターへ、彼は見事な脱皮を果たしたのです。
大ベテランのハビエル・サルバがメンバーの一員だったことに驚いた方も多いでしょう。元イラケレの看板ミュージシャンです。ロベルトは彼のグループで本格的にデビューを果たしました。そして今、ハビエルはロベルトのグループにいます。この“師弟共演”が日本にいながらにして聴けるとは、キューバ音楽ファンならずとも興奮せずにはいられません。アルト・サックス、ソプラノ・サックス、クラリネット、フルートを持ち替えながら熱演するハビエルと、微笑みを顔いっぱいにうかべてサポートするロベルト。ふたりの表情を見比べているだけでも、なんだか暖かな気分になってきます。
ぼくの見たファースト・セットでは8曲が演奏されましたが、どれも大きな声援を受けていました。お客様に「なにが一番よかったですか?」と訊ねたら、たぶんキレイに票が8等分されるはずです。そのなかであえて1曲あげさせていただくなら、ぼくは「EL RITMO DE TUS HOMBROS」を選びます。魅力的なメロディとリズムがロベルト・フォンセカ・グループは、「イキのいい音を思いっきり聴きたい」というすべてのファンを喜ばせることでしょう。
(原田 2010/1/24)
● 1.24sun.-1.26tue.
ROBERTO FONSECA
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