2010.03.26
MICHEL CAMILO & CHUCHO VALDES
artist CHUCHO VALDES , MICHEL CAMILO
公演初日リポート:MICHEL CAMILO & CHUCHO VALDES
カリブが世界に誇る2大ピアニストが昨日から3月29日まで、まだ肌寒さの残る東京で熱いセッションを繰り広げています。
ステージ向かって左側にあるピアノを演奏するのはドミニカ出身のミシェル・カミロ、右側のピアノを演奏するのはキューバ出身のチューチョ・ヴァルデス。
場内はもちろん超満員、異様な興奮が漂っています。これから行われるバトルロイヤルに、誰もが固唾を呑んでいるかのようです。なにしろラテン、ジャズ、クラシック、なんでもこいの御両人です。どんなレパートリーが飛び出すのか予想がつきません。
オープニングは、短いフレーズのかけあいから始まりました。お互いに相手のタイミングを見計らっているかのようです。が、やがて、反復された短いメロディが、聴きなれた“歌”に変化してゆきます。そうです、あのラテンの大スタンダード・ナンバー「EL MANICERO」(邦題「南京豆売り」)です。といっても両者は、ただそのまま名曲を再現するわけではありません。自在に即興を加えながら、イマジネーションのキャッチボールをするかのように、演奏の沸点を高めていくのです。「南京豆売り」はこの日、壮大な変奏曲になりました。
続いてやはりラテン・スタンダードの「BESAME MUCHO」、マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスが演奏したジャズ・ナンバー「SOLAR」といった有名ナンバーが続きます。古今東西、さまざまなアーティストに取り上げられてきた定番をあえて並べ、それをとれたての魚をさばくように料理するカミロとチューチョの技には圧倒されるばかりでした。中盤ではふたりのソロ・コーナーもあり、チューチョは「MY FOOLISH HEART」、カミロは「FROM WITHIN」(これは彼のオリジナルですが、ファンならば知らぬ者のない十八番です)でピアノを鳴らしきりました。またプログラム後半ではチューチョ・バンドのリズム・セクションが加わり、ちょっとしたジャム・セッションを楽しませてくれました。
いうまでもないことですが、チューチョもカミロも大変な人気者です。ブルーノート東京に何度も登場し、喝采を浴びてきたことは皆様も御存知かと思います。しかし今回のピアノ・デュオは、単なる大物どうしの顔合わせという域を軽く超えた快感を与えてくれます。1+1を5にも6にもしてくれるマジシャン、それがチューチョとカミロなのです。
(原田 2010/3/26)
● 3.25thu.-3.29mon.
MICHEL CAMILO & CHUCHO VALDES "Piano Masters"
coming soon