2010.07.12
LALAH HATHAWAY
artist LALAH HATHAWAY
公演初日リポート:LALAH HATHAWAY
ロング・セラー中のアルバム『セルフ・ポートレイト』からのナンバー、旧作からのレパートリー、偉大なソウル・レジェンドたちのカヴァー、そしてフレンドリーなMC。
ブルーノート東京のブログで紹介されている「日本に帰るのが待ちきれないわ。ブルーノートに行ったら、ぜひ、リラックスして楽しんでほしいの。最初から最後までたっぷり楽しんでね」というコメント通りのステージを、レイラ・ハサウェイは届けてくれました。とにかく楽しくて快いのです。アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターを絶妙に使い分けるケイタ・マツノ、強烈なスネア・ドラムで歌を盛りたてるエリック・ブラウン等、バック・メンバーも凄腕ばかり。こういうバンドの伴奏で歌うのは本当に気持ちいいだろうなあ、と心から思います。
「ファースト・ドーター・オブ・ソウル!」という紹介MCを受けて、レイラはステージに現れました。“ドーター”というのは、彼女が伝説のソウルマンであるダニー・ハサウェイの愛娘であることにちなんだものでしょう。
父親同様、ソングライターとしても才能を発揮するレイラですが、同時に彼女は“過去の名曲を自分のものにする才能”にも恵まれています。ぼくが見た初日のファースト・セットではルーサー・ヴァンドロスのカヴァー「FOREVER, FOR ALWAYS, FOR LOVE」をじっくりと聴かせ、マイケル・ジャクソンの「ROCK WITH YOU」では、やはりマイケルの大ヒット曲である「THRILLER」や「MAN IN THE MIRROR」の一節も挿入しながら盛り上げます。男性としては高めの声の持ち主だったマイケルの曲を、中低域を生かしたレイラの歌声で聴くのは実に新鮮な体験でした。本編ラストの「IT'S SOMETHIN'」では、途中でロング・スキャットを披露。名ジャズ・シンガー、サラ・ヴォーンに通じる節回しに、ぼくはさらに嬉しくなってしまいました。
アンコールはクルセイダーズとランディ・クロフォードの共演で大ヒットした「STREET LIFE」。この曲をレイラは、クルセイダーズの看板奏者であるジョー・サンプルとの共演盤『ソング・リヴズ・オン』でレコーディングしています。それを生で聴けるのは、会場に駆けつけたファンだけが味わえる喜びです。ランディの歌声がネオンきらめく繁華街の眠らない夜だとしたら、レイラのそれは月の輝く夜のしじまといったところでしょうか。
ぼくは彼女のデビュー当時の来日ライヴ(マーカス・ミラーのバンドの一員でした)も、『セルフ・ポートレイト』発売直後のステージも体験していますが、今回の公演は以前にも増して“声のふくよかさ”、“表現の艶”を感じさせてくれるものでした。成長し続けるアーティストを生で味わう喜びに浸りながら、ぼくはクラブを後にしました。
(原田 2010/7/12)
● 7.11sun.-7.14wed.
LALAH HATHAWAY
coming soon