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クレモンティーヌ - CLEMENTINE

公演初日リポート:CLÉMENTINE


いつも大好評のクレモンティーヌの公演が、今年もおこなわれています。今回は最新作『アニメンティーヌ』を引っさげてのステージです。ぼくは8月8日、初日のファースト・セットを楽しみました。

この日に限り午後4時開演、20歳未満の方も入場可ということで、親子連れが目立ちます。また、女性限定の企画「YUKATA de JAZZ」(浴衣で御来場いただいたお客様にオリジナル・カクテルがプレゼントされる)実施中ということもあって、浴衣姿の女性も数多く目につきました。いつも華やかな客席が、より一層、華やかに感じられます。

そしてライヴの演目も、ブルーノート東京21年の歴史を通じて“最異色”の範疇に入るものだったのでは、と思います。なにしろ主なレパートリーが「天才バカボン」、「サザエさん」、「崖の上のポニョ」、「うる星やつら」、「ドラえもん」等、アニメの楽曲だからです。しかしこれが趣味の良いボサ・ノヴァやサンバにアレンジされ、陰影豊かなコード(和音)がつき、フランス語で歌われるとあら不思議、味わいタップリのお洒落ナンバーになるのです。

考えてみれば、こうしたアニメ・ソングの作曲家は多方面にわたる音楽経験を十分に積んだ重鎮たちです。「ポニョ」を作曲した久石譲のペンネームが、ジャズ〜ポップスの編曲家であるクインシー・ジョーンズから来ているという話をどこかでお聞きになった方もおられるのではないでしょうか。「バカボン」(クレモンティーヌは「天才バカボン」のサビから歌い始め、その後「元祖天才バカボン」のメロディにつなげていました)の作曲家である渡辺岳夫は、フランスでクラシックを学んでいたことがありますね。

どの曲も感慨深いものがありましたが(もっとも、ぼくがリアルタイムで「うる星やつら」や「ドラえもん」を見ていた頃はまだ、アニメという言葉がなくて単に“テレビ漫画”と呼んでいました)、個人的に驚いたのは、やはり「バカボン」でしょうか。原曲の譜割りを2倍にして(つまり1小節だったところを2小節に伸ばして)、ゆったりとした乗りをかもし出しつつ歌うクレモンティーヌ、そして伴奏バンドは、この曲から新たな魅力を引き出してくれました。

もちろん「男と女」、「マイ・ウェイ」、「オー・シャンゼリゼ」等、フレンチ・テイストあふれるナンバーもたっぷり。彼女の魅力を、いろんな一面から楽しむことができました。今回の来日で、クレモンティーヌはさらに多くのファンを獲得することでしょう。
(原田 2010/8/8)


● 8.8sun.-8.11wed.
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