2010.08.14
ROY HAYNES 85 & THE FOUNTAIN OF YOUTH BAND
artist ROY HAYNES
公演初日リポート:ROY HAYNES 85
& THE FOUNTAIN OF YOUTH BAND
御年85歳の巨匠、ロイ・ヘインズがその名も“ファウンテン・オブ・ユース”(若さの秘訣)というバンドを率いて来日中です。しかも今年は彼がボストンからニューヨークに本拠地を移して65周年という記念すべき節目でもあります。
トランペット奏者グレアム・ヘインズの父親、目覚しい注目を集めているドラムス奏者マーカス・ギルモアの祖父としても知られるロイ・ヘインズですが、やはり彼自身が持つオーラ、エネルギー、パッションは格別です。サイドを務めるジャリール・ショウ(サックス)、マーティン・ベハラーノ(ピアノ)、デヴィッド・ウォン(ベース)は皆、ロイとは祖父と孫ほど年齢が離れていますが、ジャズの歴史を体現するロイと一緒に演奏することは、彼らにとってかけがえのない経験なのではないかと思います。
チャーリー・パーカーが愛奏したスタンダード・ナンバー「STAR EYES」、パット・メセニーの「QUESTION AND ANSWER」、セロニアス・モンクの「TRINKLE TINKLE」、スタン・ゲッツの名演で知られる「SUMMER NIGHT」(今の季節にふさわしい選曲ですね)など、珠玉の名曲が次々と登場します。そして改めて、ロイが彼ら全員と共演してきたという事実に驚かされます。年齢の話を繰り返して恐縮ですが、彼と同世代のドラマー、たとえばフィリー・ジョー・ジョーンズやマックス・ローチはおろか、年下のエルヴィン・ジョーンズやアート・テイラーも天に召されてしまいました。しかしロイは今なおドラム・セットに向かい、ジャズ・シーンに活を入れ続けているのです。
サイドメンが引き上げた後、ロイはひとりでステージに残り、ヴォーカルやダンスを披露しました。彼のヴォーカル・アルバムはかつて出たことがないので、これはまさしくライヴ限定、その場にいるオーディエンスだけが味わえる“かくし芸”といったところでしょうか。「明日はまた違う曲をやるよ。みんな、また来てくれるよな?」という呼びかけに、大きな歓声と拍手が沸き起こったのはいうまでもありません。
(原田 2010/8/13)
● 8.13fri.-8.16mon.
ROY HAYNES 85
& THE FOUNTAIN OF YOUTH BAND
coming soon