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MAKOTO OZONE featuring NO NAME HORSES "Back at the Club!!" -Favorite Selection-

artist 小曽根真

REPORT


小曽根 真-MAKOTO OZONE


公演初日リポート:MAKOTO OZONE featuring NO NAME HORSES
"Back at the Club!!"
-Favorite Selection-


アルバム・デビュー5周年、おめでとうございます!

小曽根真ひきいるオールスター・ビッグ・バンド、ノー・ネーム・ホーシズが我が国のホームグラウンドに戻ってきました。例年、日本公演のあと海外ツアーに出る彼らですが、今年は南フランスやウィーンをツアーしてから「ブルーノート東京」のステージに立ちました。「昔の曲も取り入れたスペシャルなプログラムにしたい」ということで、ライヴに先立ってインターネット上でオーディエンスからのリクエストを受け付けていたことは皆さん御存知かと思いますが、ぼくが見た初日のセットでも、リクエスト上位ナンバーからアッと驚くカヴァー曲まで、聴きごたえ、楽しさ、面白さ、迫力、すべて200パーセントのパフォーマンスで圧倒してくれました。

ラテン・フレイヴァー溢れる「JUNGLE」(サード・アルバム収録)でクラブをカーニバル状態にし、往年のカウント・ベイシー楽団を思わせる「YOU ALWAYS COME LATE」(セカンド・アルバム収録)では、大波が押し寄せるかのようなスイング感で包み込みます。といっても単なる“古典的ビッグ・バンド・サウンド”の再現ではなくて、3本のトロンボーンと4本のフリューゲルホーンのソリ(セクションの合奏)、そしてそこにサックス・セクションが絡み合ってくる箇所などは、恐らくノー・ネーム・ホーシズ以外では聴けない創意工夫なのではないでしょうか。

続いてはサド・ジョーンズが書き、彼とメル・ルイスが双頭で組んでいたオーケストラで有名になった「A CHILD IS BORN」。小曽根真はボストンに住んでいるとき、このバンドを聴きに往復8時間かけてニューヨークまで車を飛ばしたそうです。これまでオリジナル曲にこだわってきたノー・ネーム・ホーシズが、アメリカの有名バンドの定番をプレイしたことにも驚かされましたが、内容はもちろん見事なものでした。天下無敵のハイノート・ヒッターであるエリック宮城がフリューゲルホーンを手にして、柔らかな中低音をたっぷり聴かせてくれました。ファースト・アルバムからの「T FOR 2」は、中川英二郎の作編曲。彼と片岡雄三が大きくフィーチャーされましたが、ユニゾン&ハーモニー、いずれもバッチリ。トロンボーンのかっこよさが強烈に伝わるパフォーマンスでした。

小曽根真自身の最新作である『ロード・トゥ・ショパン』からのソロ・ピアノ演奏「マズルカ13番」が場内にクラシカルな風を吹かせた後、ノー・ネーム・ホーシズのメンバーが再登場し、再び灼熱の興奮を運びます。「NO SIESTA」は、もはや組曲といっていいでしょう。矢継ぎ早にモチーフが飛び出し、それがどんどん発展していくさまは、“音楽は生き物”を地でゆくものです。小曽根とベースの中村健吾がアストル・ピアソラ風パターンに沿って即興を繰り広げると思えば、突如アップ・テンポの4ビートになって池田篤が入魂のアルト・サックス・ソロを披露。つきない興奮を与えてくれます。これはまさにタイトル通りノー・シエスタ、昼寝している時間はありません。“マンボ!”という掛け声でテンポが倍になる「COCONUT MEETING」もまた、すさまじいものでした。「あんなふうにサックス・ソリをビシッとキメられるなら、死んでもいい!」と言っている社会人、学生ビッグ・バンドは少なくないことでしょう。

いまさらいうまでもないですが、ノー・ネーム・ホーシズの演奏は、とてつもなくハイ・レベルです。ものすごいテクニックがなければこうしたプレイはこなせません。が、彼らは技巧をひけらかさず、いともやすやすと演奏し、観客の体を揺らし、笑顔を運んでくれるのです。
トップ・ミュージシャンの底力とはこういうものなのか、と改めて痛感いたしました。

どうやら、毎回違うセットリストで連日行われていくようで、みなさんがご覧になるステージではどのような名曲&名演が飛び出すのでしょうか。できることなら、全ステージに居合わせてみたいものです。
(原田 2010/8/27)


● 8.27fri.-9.1wed.(8.29sun.OFF)
MAKOTO OZONE featuring NO NAME HORSES
"Back at the Club!!"
-Favorite Selection-
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