2011.01.22
RICHARD BONA
artist RICHARD BONA
公演初日リポート:RICHARD BONA
リチャード・ボナのバンドは文字通りの多国籍集団です。そしてライヴには、さまざまなタイプのオーディエンスがつめかけます。ジャズ〜フュージョン・ファン、ワールド・ミュージック・ファン、ポップス・ファン、ベース・ファンなどなど。ベーシストとして、シンガー・ソングライターとして、バンド・リーダーとして、エンターテイナーとして、今日もボナは風通しの良い音作りで楽しませてくれるのです。
ステージに登場したボナはいきなり、4弦のフレットレス・ベースを手にします。そして猛烈に弾き始めました。ウェザー・リポート(ジャコ・パストリアス)の「TEEN TOWN」です。「ジャコがいなければ、ぼくはベースを弾いていなかっただろう」とインタビューで語っているほどのジャコ・フリークであるボナですが、ジャコ・ナンバーを弾く彼の表情は、いつもよりもさらに嬉しそうです。それでいて指は目まぐるしく、狂いなくフレット上を動いています。ジャコが演奏する「TEEN TOWN」は何十種類も出回っていますが、ボナが手本にしたのはウェザー・リポートのアルバム『ヘヴィー・ウェザー』に入っているヴァージョンのようです。
この1曲でファンの心を完全に掴んだあと、シンガー・ソングライター=ボナの、めくるめく世界が展開されます。5弦のベースに持ち替え、彼以外の誰にも真似のできない弾き語りを披露します。もはや彼の右腕といっていいであろうエティエンヌ・スタドウィックのキーボードが渋く光り、逸材オベド・カルヴェアは足カウベル(カウベルとフット・ペダルで踏む)を取り入れたドラム・プレイでボナのベースと絡み合います。
ぼくがオベドの演奏を初めて聴いたのはイスラエル出身のサックス奏者、エリ・デジブリのCD『ライヴ・アット・ルイス649』だったと思います。メロディ楽器の一音一音にあいづちを打つような“聴き上手”、キメの細かいドラム演奏に圧倒されました。そこでは4ビート・ジャズを演奏していたのですが、ボナのバンドにおける叩きっぷりも見事なものでした。カントリー&ウエスタン風フレーズとファンキーなリズムが融合した「AFRICAN COWBOY」は、ボナがMCで語ったところによると「オベドに捧げた曲」なのだそうです。
後半では、ボナの一番の人気曲といっていいでしょう「O SEN SEN SEN」も登場。会場はさらに盛り上がり、アンコールまでハイテンションなプレイが続きました。ボナの得意技であるループを使ったひとりコーラスはありませんでしたが、逆にいえばそれを必要としないほど、今のボナ・バンドは充実しているのです。
(原田 2011 1.21)
● 1.21fri. - 1.24mon.
RICHARD BONA
● 1.25tue. はコットンクラブにて公演
coming soon