2011.02.16
ESPERANZA SPALDING -Chamber Music Society-
artist ESPERANZA SPALDING
公演初日リポート:ESPERANZA SPALDING
-Chamber Music Society-
今年のグラミー賞で最優秀新人賞を獲得したエスペランサ・スポルディングが来日しています。そうです、受賞後初のステージがここ「ブルーノート東京」でおこなわれているのです。
きくところによると、グラミー受賞が報じられてから、公演の電話予約が殺到したとのこと。すでに熱心なジャズ・ファン、フュージョン・ファンの間では実力が知れ渡っているとはいっても、一般的にはまだまだ“売り出し中”というのが、正直なところ、これまでの彼女に対する認知度でした。しかし今回は、「エスペランサって、どんなひとなのだろう。ぜひライヴで聴いてみたい」と、いろんな層のリスナーが集まり、結果、押すな押すなの大盛況となりました。
ステージは最新作『チェンバー・ミュージック・ソサイエティ』同様、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ等の弦楽器をフィーチャーした内容です。オープニング・シーンではコートを着たエスペランサが登場。ソファに深く腰掛け、グラスを傾けながら弦楽アンサンブルの音に耳を澄ませます。それが終わるとコートを脱いで立ち上がり、ウッド・ベースを持って弾き語りを始めます。ここから約90分間、エスペランサは弓弾き、指弾きの両方でベースを操り、英語とポルトガル語で歌い、超絶的なスキャットを聴かせ、ダンスも見せてくれました。曲間はほとんどなく、MCもなし(全曲終了後に、メンバー紹介が行なわれました)。自身の持っているあらゆる面をオーディエンスにアピールするかのような、とても内容の濃いライヴでした。
まだ20代だというのに、ものすごい風格、貫禄です。彼女がスペインのAyvaというレーベルからファースト・アルバム(国内プレスは無し)を発表したとき、ぼくはそのディスク・レビューを書いたことがあります。シカゴではライヴも見ました。うまい奏者だと思いました。しかし、ここまで大ブレイクするとは、恥ずかしながら予想もしていませんでした。現在、エスペランサは“現代屈指のテナー・サックス王”ことジョー・ロヴァーノのバンドにも籍をおいています。名匠ロヴァーノに鍛えられることで、エスペランサの世界はさらに大きく豊かなものになることでしょう。
3月には「最優秀ゴスペル・ソング賞」を受賞したカーク・ウェイラム、4月には「最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」に輝いたラリー・カールトンが相次いで登場します。グラミー・ウィナーを立て続けに、しかも至近距離で味わうことのできる贅沢。それが可能なのは、世界広しといえどもブルーノート東京だけではないでしょうか。
(原田 2011 2.16)
● 2.16wed.-2.19sat.
ESPERANZA SPALDING
-Chamber Music Society-
coming soon