2011.05.08
渡辺 香津美 meets 大西 順子 -DUO-
リポート:渡辺 香津美 meets 大西 順子 -DUO-
渡辺香津美と大西順子のデュオ・ライヴが実現するとは、誰が想像できたでしょう。
どんなレコーディングでも、どんなジャズ・フェスティバルでも、ふたりのセッションは行なわれていませんでした。15年ほど前、NHKの紅白歌合戦で、日野皓正・元彦の兄弟や宮川泰と一緒に、吉田拓郎のバックを務めたのが、渡辺香津美と大西順子のほぼ唯一の共演だったとのことです。
「いったいどんな演奏になるのだろうか?」、「異種格闘技のようなものになるのだろうか?」と、わくわくしながら会場に向かったのは、ぼくだけではないはずです。
プログラムは「STELLA BY STARLIGHT」、「‘ROUND MIDNIGHT」のようなジャズ・スタンダード曲、そしてふたりが持ち寄ったオリジナル曲で構成されましたが、そのオリジナル曲の選曲がまた、とんでもないのです。渡辺側が「遠州つばめ返し」、「UNICORN」を持ちこめば、大西側は超大作「THE THREEPENNY OPERA」を持ってきます。およそ、デュオには向かない“難曲”ばかりです。並のミュージシャンがおいそれと手を出せば、指をつってしまうようなナンバーばかりです。しかしそこに、ぼくは「このライヴを単なる一夜のセッションに終わらせてなるものか」という、ふたりの高いミュージシャンシップ、チャレンジ精神を見ました。エレクトリック・ベースやドラムスがタイトなビートを打ち出しているはずの渡辺ナンバーを大西がアコースティック・ピアノで表現し、ホーン・セクションが暴れまわっているはずの大西ナンバーで、エフェクターを駆使した渡辺の自由奔放なエレクトリック・ギターがうねる。「面白いじゃないか!」と、ぼくは快哉をあげました。
渡辺がソロを弾いているときは当然、大西がバッキングを担当し、大西がソロを弾いているときはその逆になるのですが、その受け渡しの素早さ、巧みさも大きな聴きどころのひとつでした。「STELLA」や「MUSICAL MOMENTS」では4小節ずつソロを交換しあうのですが、互いのフレーズに触発されて、どんどん演奏が白熱していくのが手に取るようにわかりました。
一日限定の貴重なライヴでしたが、近いうちに連続公演が行なわれることを心から楽しみにします。
(原田 2011.5.7)
● 5.7sat.
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coming soon