2011.07.08
BOB JAMES TRIO @Motion Blue Yokohama
artist BOB JAMES
BOB JAMES TRIO featuring Shadu Shah Chaidar & Lewis Pragasam
@Motion Blue Yokohama
数え切れないほど来日しているボブ・ジェームスですが、今回の公演ほどアコースティック・ピアノを弾きまくったことはないのではないでしょうか。「ボブ・ジェームスのピアノをタップリ聴きたい」、「あのタッチを全身で満喫したい」・・・・・そんなあなたに150%お勧めしたい公演が、今回のライヴです。6弦エレクトリック・ベースは今年の春にクアラルンプールで共演したときに一発で気に入ってしまったという気鋭のシャドゥ・シャー・チャイダー、ドラムスはボブとの来日経験もある名手ルイス・プラガサムです。
「ブルーノート東京」には本日から登場しますが、ぼくは昨日、ひと足早く「モーション・ブルー・ヨコハマ」で聴いてまいりました。ここは「ブルーノート東京」より規模が小さいため、さらに親密感があり、文字どおりミュージシャンに肉薄できるところがポイントです。ボブがここに出演するのは7、8回目だそうです。
オープニングは、ホレス・シルヴァーが作曲した「THE JODY GRIND」。シルヴァーといえば1950〜60年代に大活躍したモダン・ジャズのスターですが、ここ10数年は体調を崩しており、実質的には引退状態が続いています。しかし彼の曲は今も多くのミュージシャンにとりあげられ、ファンにも愛されています。ファンキーなメロディが印象的なこの曲を、ボブはエレガントに聴かせてくれました。
次はなんだろう、と思っていたら、演奏の途中でようやくわかりました。ペトゥラ・クラークの歌でヒットした60年代のポップス「DOWNTOWN」です。ボブはこの曲のハーモニーを変え、リズムもレゲエ風にして解釈します。名アレンジャー、ボブの面目躍如といったところでしょうか。ベース、ドラムスとのシンプルなピアノ・トリオ編成であっても、しっかりと編曲をほどこし、鮮やかな“キメ”を挿入しながらプレイするのです。
「NARDIS」は、初期のボブが最も影響を受けたピアニストであるというビル・エヴァンスの演奏で知られるナンバー。彼は1962年のファースト・アルバム『ボールド・コンセプションズ』でこの曲をとりあげて、近作『テイク・イット・フロム・ザ・トップ』で再演していましたが、今回はもちろん後者のアプローチです。ひとことでいえば、テンポやキーがコロコロと変わります。基本的にはファンク調ですが、ときおり4ビートのパートが挿入されていました。
今回のライヴでは、ボブのソロ・ピアノも味わうことができました。スタンダード・ナンバーの「I'M GLAD THERE IS YOU」です。まるでクラシックの小品のようなアレンジとタッチに、彼のルーツを見る思いでした。
以上の曲はすべて他人の書いたナンバーですが、もちろんオリジナル曲も聴かせてくれました。あのアルバムのタイトル曲も演奏してくれましたし、あの定番もピアノ・トリオならではの解釈に生まれ変わっていました。それに関してはぜひ、実際にクラブに足を運んでいただき、確認していただければと思います。
(原田 2011 7.7)
● 7.8fri.-7.10sun. @BLUE NOTE TOKYO
BOB JAMES TRIO
featuring Shadu Shah Chaidar & Lewis Pragasam
coming soon