2011.08.28
"MIKARIMBA" featuring Mika Yoshida, Steve Gadd, Eddie Gomez & Stefan Karlsson
artist 吉田ミカ
公演初日リポート:"MIKARIMBA"
featuring Mika Yoshida, Steve Gadd, Eddie Gomez & Stefan Karlsson
吉田ミカ、スティーヴ・ガッド、エディ・ゴメスのユニット“ミカリンバ”(キーボードは今回、ステファン・カールソンが担当しました)、待望のブルーノート東京公演が行なわれました。
店内に入り、バンドスタンドを見渡すと、多くのファンがマリンバの大きさに驚くことでしょう。マリンバといってもいろんな大きさがあるのですが、吉田ミカの使用している楽器は横幅2・5メートル、5オクターヴの音域が出るというもの。こんな大きなマリンバを生で見たのは、ぼくの人生の中で初めてです。超大型マリンバの、太く、豊かな音がジャズ・クラブに鳴り響いたのはこれが初めてではないでしょうか。
オープニングは吉田とガッドのデュオです。このバンドにおけるガッドはドラマーであると同時にミュージカル・ディレクター的な存在でもあります。無駄のない、タイトに引き締まったドラムスの一打一打がマリンバの雄大な響きに呼応していました。つづいてカールソンとゴメスが登場し、ガッドとのトリオで「VERY EARLY」を演奏します。ゴメスの恩人ともいえるピアニスト、ビル・エヴァンスの楽曲を、8ビートを生かしたアレンジで新鮮に蘇らせてくれました。
ガッドが息子のために書いた「THE DUKE」からは、4人揃ってのパフォーマンスが続きます。吉田ミカは、マリンバの幅広い音域をフルに使ってプレイします。ときに両腕は大きく左右に広がり、アドリブ・フレーズの途中には気合を入れているのでしょうか、掛け声も飛び出します。ガッドのリズムに乗って演奏する嬉しさ、気持ちよさを全身で表現しているようなプレイが見事でした。
ゴメス作の「MORNING LOVE」が聴けたのも嬉しかったですね。この曲、80年代の人気グループであった“ザ・ガッド・ギャング”のレパートリーではないですか。当時は故リチャード・ティーのエレクトリック・ピアノとゴメスのベースが主旋律を奏でていましたが、マリンバとベースの合奏で聴くのも爽快です。エンディングの「CANTABILE」は、かつてガッドが故ミシェル・ペトルチアーニ、アンソニー・ジャクソンと移転前の「ブルーノート東京」で演奏したナンバーです。ぼくはそのときの感銘がいまだに耳にこびりついて離れないのですが、ちょっとカンツォーネ風のメロディとマリンバの相性は絶妙でした。
正直申し上げて、2009年のライヴを収めたDVDには「クラシックや現代音楽界を代表するマリンバ奏者が必死にジャズに近づこうとしている姿勢」が感じられました。しかし現在の吉田ミカと、ジャズの間には1ミリの距離もありません。マイク・マイニエリに指導を仰いだことも、彼女の“ジャズ度”を大いにアップさせたことでしょう。ジャズ・マリンバ・プレイヤーとして、とんでもないスピードで成長を続ける吉田ミカ。今後の活動が、さらに楽しみになる素敵なライヴでした。
(原田 2011 8.27)
● 8.27sat.-8.28sun.
"MIKARIMBA"
featuring Mika Yoshida, Steve Gadd, Eddie Gomez & Stefan Karlsson
●8.29mon. はコットンクラブにて公演
coming soon