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LOU DONALDSON

artist LOU DONALDSON

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ルー・ドナルドソン - LOU DONALDSON


公演初日リポート:
LOU DONALDSON


2009年、「東京JAZZ」に出演。あの大きな東京国際フォーラム・ホールAを熱狂の渦に巻き込んだルー・ドナルドソンが、今度は「ブルーノート東京」に来てくれました。生音の聴こえるクラブで、円熟の名人芸を味わう気分は格別です。

他のメンバーは敦賀明子(オルガン)、ランディ・ジョンストン(ギター)、田井中福司(ドラムス)という、前回と同じ顔ぶれ。今のルー・ドナルドソンを満喫するにはパーフェクトなセッティングが揃っています。

ドナルドソンのプレイは、とにかく歌心にあふれています。そして明快です。「ああ彼は、今この曲の、この箇所でアドリブしているな」ということが、きちんとわかるのです。これは2012年に演奏されるジャズでは、なかなかないことです。そして豊かなユーモアがあります。トンチが利いているといえばいいのでしょうか、演奏している曲の中にどんどん他の曲の旋律を引用して、とにかくメロディアスにアルト・サックスを奏でていくのです。ぼくが見た初日のセカンド・セットでは、「L-O-V-E」に「コットンテイル」、「BODY AND SOUL」に「プリズナー・オブ・ラヴ」、「WHISKEY DRINKING WOMAN」に「ダーダネラ」、「ラヴァー・マン」、「チャタヌーガ・チュー・チュー」などのメロディを挿入して楽しませてくれました。

この手法をクォーテーションと呼びますが、かつてはデクスター・ゴードンやジョニー・グリフィン等、これを得意とする奏者が山ほどいました。しかし現役のミュージシャンで、この演奏スタイルをこなせるのはもう、ドナルドソンぐらいかもしれません。

「BYE BYE BLACKBIRD」では、ラスト・テーマの後、逆循(ぎゃくじゅん)に則ったプレイも聴かせてくれました。かつては故ソニー・スティットが逆循の名人として知られていましたが、50年代のレコードならともかく、この演奏スタイルをライヴで聴くのは非常に貴重な機会だといわざるを得ないでしょう。また「CHEROKEE」では、リズム・セクションを全員休ませて、1コーラスにわたる無伴奏のアドリブも聴かせてくれました。「CHEROKEE」は、コード進行の目まぐるしい曲として知られ、かつてニューヨークのミュージシャンの間では「チェロキーをすべてのキーで演奏できてこそ本物のジャズメン」といわれたともききます。クリフォード・ブラウンもチャーリー・パーカーもバド・パウエルも「CHEROKEE」に取り組んでいました。その時代に叩き上げたジャズ・スピリットが、今もドナルドソンの体内で燃え続けているのです。

ルー・ドナルドソンは、昨年11月に85歳を迎えました。彼の大先輩にあたるアルト・サックス奏者、ベニー・カーターは90歳を過ぎても現役活動を続けたというではないですか。御大の、ますますの活躍と健康を願ってやみません。
(原田 2012 3.7)


● 3.7wed.-3.10sat.
LOU DONALDSON
☆ 参考:セットリストはこちら
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ルー・ドナルドソン - LOU DONALDSON

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