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RICKIE LEE JONES

artist RICKIE LEE JONES

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
 
 

リッキー・リー・ジョーンズのニュー・アルバムやライヴは、ぼくにとっていつも大きな楽しみのひとつです。ベン・ハーパーがプロデュースした最新作『デヴィル・ユー・ノウ』も、この夏にリリースされてから一体何度聴いたことでしょう。ローリング・ストーンズやザ・バンドの有名曲もとりあげているのですが、なにしろ個性派として知られるリッキーです。料理の仕方は、まさしくワン&オンリー。その曲が内包していた新しい魅力を、少しも奇をてらうことなく、そっと優しく引き出して、リスナーの心に届ける・・・といえばいいでしょうか。今回の来日公演は、本当にいいタイミングで行なわれていると思います。

バンドは3人編成。彼女のアコースティック・ギター&ピアノの弾き語りに、ジェフ・ピーヴァーのギター、オルガン、マンドリン、ペダル・スティール、エド・ウィレットのチェロが加わります。ジェフは1983年、リッキーのオーディションに合格し、プロとして有名になるきっかけをつかんだ人物。彼女が心から信頼を寄せるミュージシャンのひとりであり、ほかにもレイ・チャールズ、ジェームズ・テイラー、ジョー・コッカーらの歌唱をサポートしてきました。エドはブルー・キャンヴァス・オーケストラの音楽監督にして、ケニー・ロギンズとの共演でも知られています。ジェフとエドは曲によってリッキーのバック・コーラスも務めましたが、このハーモニーも見事でした。一流ミュージシャンというのは、ほんとうにいろんな才能を持っているんだなあと、ぼくはあらためて感銘を受けました。

この日のプログラムはほとんど最新作『デヴィル・ユー・ノウ』からの楽曲になるだろう、と予想して会場に向かったのですが、意外なほど初期のナンバーを聴くこともできました。「セット・リストは私の頭の中にある」と語るリッキーは、あらかじめ歌う曲目を決めてステージに登場するタイプの音楽家ではありません。自分自身の気分やお客さんの反応をみて、そのときにふさわしいナンバーを決めていくのです。だからジェフとエドは常に臨戦態勢、リッキーがどんな曲を歌いだしても即座に伴奏をつけなければなりません。今回のリッキー・バンドのサウンドは、ドラムスがないこともあって、いつも以上に静謐です。しかし耳をすまして聴けば、その中にとんでもないパワーと熱気が秘められていることが理解できることでしょう。「静の力」に満ち溢れた90分、鮮やかでした。

あるときはあどけない少女のように、またあるときは人生の辛酸をなめつくした女性のように。リッキー・リー・ジョーンズの歌声は更に幅を広げ、表現力を深めています。本日のステージではいったい、どんな曲が飛び出すことでしょう。必見必聴です!
(原田 2012 9.27)

SET LIST

リッキー・リー・ジョーンズ公演のセットリストは “今後ライブをご覧いただく皆様のために、当日の楽しみにしておきたい” とのアーティストの要望により、HPには掲載しておりません。

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