LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


TERUMASA HINO h FACTOR

artist 日野皓正

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
 
 

ただ前だけを向き続ける男、それが日野皓正です。半世紀に及ぶキャリアの中でその都度、時代のトレンドを吸収して、彼ならではの音楽を創りつづけてきました。約1年ぶりの「ブルーノート東京」公演となる今回は、DJ HONDAらと組ん だ"h FACTOR"での登場。目下の最新作『アフターショック』からさらに発展・前進した、アフター『アフターショック』というべき世界を楽しませてくれました。

ステージには左からピアノ、ギター、コントラバス、DJ、エレクトリック・ベース、ギターの各奏者が並びます。こういう編成のバンドは、ほかにないでしょう。そのサウンドはときには大都会のビル群を思わせ、かと思えば果てしない密林を想像させます。「うわ、ファンキーだな」と思った次の瞬間に、とんでもなく抽象的で尖った音が飛び出してくることもあります。
彼らを背にして日野皓正は奔放にトランペットを吹き、パーカッションを叩き、ときにホラ貝をブロウします。そのフレーズ、タイミングはまったく予想がつきません。

説明するでもないですが日野皓正といえば世界的なトランペッターで、ファッション面も含めて日本にジャズのかっこよさを広めた第一人者でもあります。しかしその演奏に、「セレブ感」はありません。まるで新進ミュージシャンのように懸命にプレイし、バンドを煽ります。

この日は新曲に交えて2008年のアルバム『寂光』に入っていた「FUNAKURA」も取りあげられましたが、よほど熱心なファンでも、それに気づいたひとは少ないのではないでしょうか。曲の切れ目(拍手するところ)はいくつかありましたが、ぼくにはすべてのレパートリーが、"この日、はじめて作られた壮大な組曲"に聴こえました。

日野皓正はMCで、このようなことをいいました。「古典的なジャズを楽しみにしてきたひとは、"なんだこれ"というかもしれない。でも自分も70歳。古典をコテンコテンにして、残りの人生は新しく生まれるものを追求したい」。

ニュー・アルバムは目下レコーディング中、来年の春に日野皓正自身のレーベルからリリースされるとのことです。本日は昨日のメンバーに、フライド・プライドの横田明紀男が加わります。トリプル・ギターによる、"h FACTOR"の世 界。さらにエキサイティングな一夜になることでしょう。
(原田 2012 10.8)

SET LIST

2012 10.8 mon.
1st & 2nd
1. UNITY
2. FUNAKURA
3. OFF THE RECORD
4. DJ HONDA SOLO
5. NEVER FORGET 311

INDEX