2012 11.14 wed. - 11.16 fri.
LEE RITENOUR & DAVE GRUSIN featuring ABRAHAM LABORIEL & CHRIS COLEMAN
artist DAVE GRUSIN , LEE RITENOUR
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
'70年代に伝説のグループ"ジェントル・ソウツ"で共に活動し、'80年代にはグラミー賞アルバム『ハーレクイン』を合作。その後も数々のプロジェクトで共演を続けている名コンビ、リー・リトナーとデイヴ・グルーシンが昨日から「ブルーノート東京」を熱狂の渦に巻き込んでいます。しかもベースは重鎮エイブラハム・ラボリエル。フュージョンの歴史と伝統を築いてきたといっても過言ではない3人だけに、そのプレイは「心から楽しんで見ることができて、心から安心して聴くことができる」のひとことに尽きます。楽器体験者なら誰もが、彼らのプレイに接して「自分もああいう風に、一度でも演奏できたら」と感じることでしょう。
このオールスター・メンバーが今回、ドラマーに迎えたのはクリス・コールマンです。リトナーがMCでいうには、「彼はまだベイビーなんだ。だってデイヴ、エイブラハム、ぼくはもう200回ぐらい日本に来ているけれど(ここで客席から大歓声が起こります)、彼は7回目だからね。本当に素晴らしい才能の持ち主だよ。センス、テクニックはいうまでもないし、笑顔が最高なんだ。彼のスマイルにもぜひ注目してほしいね」。
クリスは見たところ、ちょっと格闘技の選手風です。鍛え抜かれた肉体で、力強くメリハリのあるドラム・プレイを聴かせます。しかしその表情は常に、といっていいほどニコニコしていて、ドラムを叩くことが嬉しくてたまらない、といった印象を受けます。彼に限らず、このバンドは、本当に嬉しそうに演奏を続けます。グルーシンこそちょっと学者風ですが、リトナーは満面の笑顔でギターを弾き、ラボリエルも笑顔のまま巨体をゆらして思いっきり弦をかき鳴らします。ところでラボリエルは2005年にバークリー音楽大学から名誉音楽博士号を授与されています。そんな"大先生"が、満面のスマイルで、全身でライヴの楽しさに浸っている・・・なんて素敵な光景でしょうか。
ちなみにクリス・コールマンは今年で33歳。2歳からドラムを始めたという天才児です。言葉を覚える前にドラムの叩き方を覚えてしまったわけですね。14歳の頃から本格的なプロ活動をはじめ、近年はチャカ・カーンのツアーで演奏する機会が多いとのことです。『ダイナミック・ドラミング』という教則DVDも出していますが、そのプレイはダイナミックにして繊細。長年のリトナー・ファンにはおなじみのレパートリーである「WES BOUND」や「RIO FUNK」も、彼がドラムスを担当することで、一層の新鮮味が生まれていました。
リトナー&グルーシン・バンドの公演は金曜日まで続き、土曜日には「ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウwith special guest リー・リトナー」の特別公演が行なわれます。乗りに乗るリトナーの"現在"を、ぜひどうぞ。
(原田 2012 11.14)
● 【11.17 sat. リー・リトナー出演決定!】
ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ with special guest リー・リトナー公演