2012 11.30 fri. - 12.3 mon.
DAVID SANBORN "Anthology" @Motion Blue YOKOHAMA
artist DAVID SANBORN
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
公演初日リポート @Motion Blue YOKOHAMA
アルト・サックスのカリスマ、デヴィッド・サンボーンの「ブルーノート東京」公演が近づいてきました。ぼくは待ちきれず、24日の「モーション・ブルー・ヨコハマ」公演に潜入してきました。サンボーンが、ここに登場するのは今回が初めてとのことです。
近年はブルース~R&B色の濃いステージを繰り広げていたサンボーンですが、今回のツアーは最新リリース『アンソロジー』発売記念。この2枚組CDは、ソロ・デビューした1975年以来、現在までに吹き込まれた数多くの名演の中からサンボーン本人が選曲したナンバーを集めた"究極のベスト・アルバム"です。そこに収められている新旧の楽曲がライヴで味わえるという、すべてのファンにとって待ちに待ったプログラムが、今おこなわれている一連の公演なのです。
バック・メンバーはリッキー・ピーターソン(キーボード)、ニック・モロック(ギター)、リチャード・パターソン(ベース)、ジーン・レイク(ドラムス)という、"サンボーン・ファミリー"的な面々。'90年代からサンボーンのライヴに通いつめていたぼくのようなファンには、旧友と再会したように嬉しくなる顔ぶれです。故ドン・アライアスが担当していたパーカッションの座は空席のままです。これは「彼に替わる打楽器奏者はいない」というサンボーンの意志なのでしょう。
曲目はおそらく日替わりになると思いますが、この日は「CHICAGO SONG」、「RUN FOR COVER」、「STRAIGHT TO THE HEART」などをたっぷり聴かせてくれました。サンボーンが、いわゆるフュージョン・サックスの頂点に登りつめた頃のナンバーです。「10年ぶりに演奏する曲もあるんだよ」とMCで語っていましたが、サンボーンのフレーズ作りは当然"現在"のものですし、リズム・パターンをはじめとするアレンジにも変化が加えられており、単なるヒット・ソングの再演になっていなかったのは、さすがです。
ラストは、「この曲については、もう説明する必要はないよね」という前置きのあと、「THE DREAM」です。サンボーンの十八番中の十八番ですが、今回はサックスの後ろ に、リッキー・ピーターソンのバック・コーラスがつきます。果てしなく伸びていきそうなサンボーンの音色、リッキーの歌声、リズム・セクションの入魂のプレイ。そのすべてが一体となって、横浜の夜に響き渡りました。
サンボーン・バンドは最上のコンディションを維持しつつ、11月30日から「ブルーノート東京」に登場します。
(原田 2012 11.24)