2012 12.4 tue. - 12.7 fri.
CLARKE/DUKE 4 "BRING IT!" TOUR
artist CLARKE/DUKE 4
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
キーボードの魔術師とベースの魔術師が、久しぶりにここ東京で再会を果たしました。ジョージ・デュークとスタンリー・クラークの黄金コンビが意気込みも新たに結成した"クラーク/デューク4"、そのお披露目公演が「ブルーノート東京」で昨日から開催されています。
メンバーは両巨頭のほかに、もうひとりのキーボード奏者であるボビー・スパークスとドラムスのヘンリー・マクダニエル。ボビーは4歳からオルガンを始め、9歳の頃にはジャズ、R&B、ゴスペルを演奏していたそうです。'90年代初頭に人気R&Bシンガー、カーク・フランクリンの音楽監督に就き、ジョージ・ベンソン、マーカス・ミラー、ロイ・ハーグローヴらとも共演。今後がさらに楽しみな鬼才です。いっぽうのヘンリーは、まだ21歳の若さ。3歳のころからドラムスを叩き始め、19歳のときにシカゴで行なわれたドラム・コンテストで優勝。ボビー同様、ジャズ、R&B、ゴスペル、なんでもこいの凄腕です。このふたりを起用したジョージ・デュークとスタンリー・クラークは、本当に冴えています。
オープニングの「WILD DOG」からスタンリーのエレクトリック・ベースが火を噴き、ジョージのキーボードが炸裂します。コード(和音)を交えたスタンリーのプレイは、メロディアスにしてワイルド。リード・ギターのように観客を煽ります。その後ろでボビーは、シンセサイザーを用いてゴキゲンなベース・ラインを作り出します。続く「SILLY PUTTY」では早くもジョージの得意 技、ショルダー・キーボードによるプレイを満喫させてくれました。スタンリーと顔を見合わせながら、ベンドを利かせたロング・トーンを連発するジョージ。ぼくは彼の演奏をいろんなバンドで聴いてきましたが、スタンリーと組んでいるときの表情は、とりわけ生き生きしているように感じられます。
中盤では、ふたりが最初に組んだ伝説的ユニット"クラーク/デューク・プロジェクト"の大ヒット曲である「SWEET BABY」を披露。「待ってました!」といわんばかりの歓声がクラブ中 に広がります。ジョージの深みのある歌声に、スタンリーのアコースティック・ベースが絡みます。続いてはなんと、アコースティック・デュオによる「AUTUMN LEAVES」。ふたりのバックグラウンドにある ジャズの要素が、強く前に出たパフォーマンスでした。
「さあ、次はまったく違うタイプの曲をやるよ!」という前振りで始まったのは、スタンリーの大定番「SCHOOL DAYS」。あの大きな手、長い指が、エレクトリック・ベースの上を存分に駆け巡ります。そしてアンコールにはジョージ一世一代のファンク・ナンバー「REACH FOR IT」が飛び出し、会場の熱気はさらにさらに高まりました。
公演は7日まで続きます。「寒さを吹き飛ばすような熱い音楽で、思いっきりノッてみたい」という方は、何をさしおいてもぜひどうぞ!
(原田 2012 12.4 :公演初日リポート)