2013 1.23 wed. - 1.24 thu.
JON SECADA
artist JON SECADA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
キューバ生まれの米国マイアミ育ち。2度のグラミー賞に輝くビッグ・スター、ジョン・セカダが初めてブルーノート東京に登場しています。
ソロ・シンガーとして大活躍する一方で、グロリア・エステファン、ジェニファー・ロペス、リッキー・マーティン等に楽曲を提供。あのフランク・シナトラから直々にデュエット・パートナーに指名されたという栄誉も持っています。来日はなんと、約20年ぶりとのこと。ぼくは彼にずっと「ラテン」のイメージを持っていたのですが、現在の姿にはジャンルを超えたショウ・シンガー/エンターテイナーという印象を受けました。往年のトニー・ベネットやジョニー・マティスが思い浮かんだのです。
プログラムは「Body And Soul」で幕を開けました。ジャズの世界でよく知られているバラードです。彼は歌いながら登場し、代表曲「I'm Free」へつなげます。「この素晴らしき世界」という邦題 でおなじみの「What A Wonderful World」はブルース風のアレンジで聴かせ、続いてボサノヴァ調の新曲「Letter From A Friend」、スマッシュ・ヒット「Angel」と続きます。オーディエンスのひとりひとりと目をあわせながら歌っているようなパフォーマンス、やや派手目なアクションは、やるひとによっては"キザ"と感じられることでしょう。しかしジョンの場合、それがビシッとサマになっているのです。この立ち居振る舞いと歌声で彼は、いったいどのくらい世界中の女性を魅了してきたのだろうか、と、ぼくはつい考えてしまいました。
シナトラのヒット曲「The Best Is Yet To Come」は、まずシナトラとジョンのデュエット音源を流し、いつの間にかそれが目の前のライヴにつながっていく・・・という粋な構成。プログラム後半では、ピアノ弾き語りのコーナーも設け、グロリア・エステファンと共作したNo.1ヒット「Coming Out of the Dark」等を熱唱しました。
アンコールはもちろん、ゴールド・レコードに輝く「Just Another Day」。後半では床にしゃがみこみ、腕を思いっきり上につきあげながら、全身全霊で歌の世界を表現します。マイクが要らないのではないかと思えるほどの豊かな声量、贅肉ひとつない体つき。満面の笑顔の裏で、とんでもない鍛錬を続けているのでしょう。
最後の最後にジョンは、投げキッスをしてステージを去りました。「キザだなあ、でも決まってるなあ」と、ぼくは大エンターテイナーの世界に酔ったのでした。
(原田 2013 1.23)