2013 2.18 mon. - 2.21 thu.
RAMSEY LEWIS & HIS ELECTRIC BAND with special guest PHILIP BAILEY of Earth, Wind & Fire
artist PHILIP BAILEY , RAMSEY LEWIS
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ガッチリした体格、しなやかな身のこなし。ミュージシャンと呼ばれる人物はこの地球に何万何億と存在しますが、オリンピックの聖火ランナーに選ばれたのはラムゼイ・ルイスぐらいでしょう。美しく磨きぬかれた彼のピアノ・タッチは、まさしく健康な身体と健康な精神のたまもの、といえます。
アコースティック・ピアノ・トリオでの活動に重きをおいているラムゼイですが、今回のライヴは前回同様、キーボードやエレクトリック・ベースもフィーチャーしたジャズ・ファンク仕立てです。しかし御大はキーボードをティム・ギャントに任せ、アコースティック・ピアノに専念します。'70年代のようにあれこれシンセサイザーを弾きません。その理由を、以前ラムゼイはこう説明しました。「一時期は次々と新しいキーボードを試したものだ。ひとつマスターし終える頃には、また新しいキーボードが発売される。それをマスターする頃には、また新型のキーボードが出てくる。どうにも落ち着かなくてね、あるときから自分はピアノに専念することにした。私にとってはアコースティック・ピアノこそ"自分の声"なんだ」。
ゴスペル、クラシック、ジャズが融合した独自の世界は今回も健在です。ラムゼイ・バンドの元メンバーで"アース、ウィンド&ファイアー"(EWF)の創立者でもあるモーリス・ホワイトが曲作りに関わった「Brazilica」から、格調高いアコースティック・ピアノの音がクラブに響き渡ります。続いてはジョン・コルトレーンの「Dear Lord」と自作「Blessings」のメドレー。ラムゼイとコルトレーンとは実に意外な組み合わせですが、ふたりのルーツにはゴスペルがあります。彼はしっとりと厳かに、コルトレーン・ナンバーを料理しました。
中盤に入ると、スペシャル・ゲストのフィリップ・ベイリーが登場します。いまさら説明は不要でしょう。EWFの声と呼ばれたグレイト・シンガーです。天にも昇るようなファルセットで人気を博した彼ですが、地声もまた、ソウルフルで魅力的です。「ラムゼイとまた共演できるなんて嬉しいね。今日はこんな曲もラムゼイ・タッチで聴いてもらうよ」というMCの後に登場したのはなんと、「Shining Star」、「September」といったEWFのビッグ・ヒットの数々。ソロでこうした曲を歌うフィリップもレアなら、それを伴奏するラムゼイの姿も思いっきりレア。まさしくライヴに駆けつけたファンだけが楽しめる贈り物といえましょう。
そして大ラスは、いうまでもなく「Sun Goddess」。ラムゼイがフィリップやモーリスを迎えて放ったメガ・ヒット・アルバムのタイトル曲です。リリースからもう40年近くが経つのですが、ラムゼイもフィリップも実にいい具合に年輪を重ねています。2013年の「Sun Goddess」、みなさんもぜひご体験を。
(原田 2013 2.18)
2013 1.30 wed.
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