2013 3.9 sat. - 3.13 wed. (3.11 mon. OFF)
KENNY BARRON TRIO
artist KENNY BARRON
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
現代ジャズ・ピアノ界を代表する重鎮、ケニー・バロンが昨日から自身のトリオで登場しています。'60年代から第一線で活躍し、ジョー・ヘンダーソン『テトラゴン』、ジョージ・ベンソン『バッド・ベンソン』、スタン・ゲッツ『ピープル・タイム』等、数多くの名盤を支えてきた彼のピアノを間近で満喫できる、またとないチャンスといえましょう。
ベースの北川潔は'88年からニューヨークを拠点に活動しています。バロンとは'94年頃から共演を開始し(もう20年近く一緒にプレイしているということになりますね)、ケニー・ギャレット、ジミー・ヒース、ジョン・ファディス等のグループでも演奏したこともあります。
ドラムスのジョナサン・ブレイクは、マッコイ・タイナーやグローヴァー・ワシントンJr.との共演で知られるヴァイオリン奏者ジョン・ブレイクの息子。バロンと同じくペンシルヴァニア州フィラデルフィアの出身で、トム・ハレルやラッセル・マローンのグループ、ミンガス・ビッグ・バンド等で活動してきました。バロン、北川、ブレイク、世代の違う3人が一丸となって、モダン・ジャズのド真ん中を聴かせてくれるのが嬉しいですね。
バロンのMCはシンプルそのもので、メンバーと曲目を簡単に紹介するだけ。「私は音楽そのもので語るんだ」ということでしょうか。冒頭はスタンダード・ナンバーの「I Hear A Rhapsody」。ビル・エヴァンス など数多くのピアニストが取りあげていますが、バロンは1コーラス目を無伴奏ソロで演じます。2コーラス目からベースとドラムスが入り、やがてバロンのアドリブへ。続いて北川のベース・ソロがあり、それが終わった後にはバロンとブレイクが8小節ずつ、アドリブのかけあいをします(いわゆる8バース)。そのパターンは昔からのモダン・ジャズそのものです。しかし3人のプレイは新鮮そのもの、とくにブレイクはタムをすべて同じ高さで横に並べる独特のセッティングで(しかも右側には鉄板がぶら下がっている)、バロンのピアノを絶えず鼓舞していました。
バロンはまた、バラードの名手でもあります。自作の「Lullaby」、ビリー・ストレイホーン作「Isfahan」は、まるで一編の詩のようでした。北川もブレイクもバロンのプレイを本当によく聴いて、その都度、最良の音を選んでいることがわかります。そして、本編ラストは古くからのバロン・ファンにはたまらない選曲といっていいでしょう、「New York Attitude」。'80年代の代表作 『Autumn In New York』に収められていた隠れ名曲ですが、バロンは往年よりもさらに速めのテンポで、一気呵成に弾きまくります。
ケニー・バロン・トリオの公演は13日まで続きます(11日はオフ)。ジャズ・ピアノの王道をぜひ、至近距離でご堪能ください!
(原田 2013 3.9)
2013 3.9 sat.
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