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HUGH MASEKELA

artist HUGH MASEKELA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ここ数日、すこしずつ暖かくなってきていますが、「ブルーノート東京」では猛烈に熱いライヴが繰り広げられています。南アフリカが誇る音楽大使、ヒュー・マセケラのステージです。

ソウルフルな歌声、リズム感のかたまりのようなダンス、爆笑もののMC、そして輝かしいフリューゲルホーン(トランペットの一種。マセケラは'70年代からこの楽器を使っています)。自分自身が心からパフォーマンスを楽しみつつ、オーディエンスを徹底的に喜ばせる・・・彼のサービス精神、エンタテインメント性には本当に頭が下がります。いまから8年ほど前、ぼくはマセケラにインタビューしました。そのとき彼はこう言いました。「ルイ・アームストロングに感激して、音楽の世界に入ろうと思った。アメリカに出したファンレターの返事が南アフリカに住む私のところに来たときは本当に嬉しかったなあ。今でもルイは永遠のヒーローだよ」。

いつも有能な若手をグループに加えているマセケラですが、今回も確かな腕前を持ったメンバーが揃っています。パーカッションのフランシス・フスター(西アフリカのシエラレオネ出身)以外は、すべて南アフリカ生まれ。「アフリカン・グルーヴ」という言葉がピッタリ来るステージを満喫させてくれました。オープニングの「Languta」は、'70年代初頭、彼がチサ・レーベルに吹き込んでいた頃の1曲。しかしアレンジはガラリと変わり、アベデネコ・ズールーのうねるようなベース・ラインの上で、紫の上着に身を包んだマセケラがシャウトします。次に登場した「Mama」はマセケラ流メロウ・ソウルといえばいいでしょうか。キャメロン・ワードのギター・ソロとスキャットのユニゾンには、うっとりするしかありません。

ステージ後半は「これがなければマセケラのライヴに来た気がしない」的、黄金のレパートリーが続きます。「Stimela(Coal Train)」は組曲風の長尺ナンバー。マセケラは線路上を走る貨物列 車の音や汽笛の物真似を交えながら、ドラマティックに歌い上げます。続く「Lady」は盟友フェラ・クティへのトリビュート。「マセケラがアフロ・ビートに取り組むと、こうなる」的なホットなプレイに場内は総立ちです。そして次に'68年の全米No.1ヒットで彼の出世作である「Grazing in the Grass」。ビートルズを筆頭とするロック・ミュージシャンが 次々と話題曲を出していた時代に、インストゥルメンタルでチャートの首位を獲得したのは快挙の一言に尽きます。こんなに楽しく、わくわくするようなメロディとリズム・パターンを持つナンバーは、そんなに多くは存在しません。「ヒット曲はやり飽きたから、もう演奏しない」と語るアーティストも少なくないとききますが、マセケラはこれからも毎晩、この曲をプレイしてファンを喜ばせ続けることでしょう。

公演は本日も行なわれます。地球を代表するエンターテイナーの、グルーヴたっぷりのステージをお見逃しなく!
(原田 2013 3.17)

SET LIST

2013 3.17 SUN.
1st
1. LANGUTA
2. HAPPY MAMA
3. HA LE SE
4. STIMELA
5. LADY
6. GRAZING IN THE GRASS
7. KHAWULEZA
2nd
1. LANGUTA
2. CHILESHE
3. MARKET PLACE
4. HA LE SE
5. LADY
6. MAKOTI
7. ASHIKO / MANDELA

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