2013 5.3 fri.-5.4 sat.
SAM MOORE
artist SAM MOORE
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
もう、彼について説明は不要でしょう。ソウル(魂)が人間の形になって、息をし、服を着て歩き、歌を歌っているといっても過言ではありません。ザ・ソウル・マン、偉大なるサム・ムーアが"魂の歌"を5月の日本に届けてくれます。
サムは5月2日、日本武道館で行なわれた「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love&Peace」に出演し、「Soul Man」と「That Lucky Old Sun」を歌いました。
後者はフランキー・レインやレイ・チャールズの歌で知られるナンバーですが、サム&デイヴ(サムとデイヴ・プレイターが'60年代から'81年にかけて組んでいたR&Bデュオ)の得意曲でもありました。サムは今から30年ほど前、清志郎がリード・ヴォーカルをとっていたバンド"RCサクセション"がこの曲をとりあげたのをたまたま聴いたそうです。「それはサム&デイヴのアレンジをそっくり用いたものだった。私はそれ以来、清志郎のことを考えるとこの曲を思い起こすんだ」。RCサクセションの演奏する「That Lucky Old Sun」を、ぼくは一度も聴いたことがありませんが(少なくともレコードやCDにはなっていません)、バンドがR&B~ソウル・ミュージックに寄せていた深い愛情を考えると、心に迫るパフォーマンスであったであろうことは簡単に想像できます。
武道館ではスペシャル・ゲスト的な扱いだったサムですが、「ブルーノート東京」公演では名曲のフルコースを味わわせてくれます。長身のベーシスト、アイヴァン・ボドリーが音楽監督を務めるバック・バンドは、テクニックもエンタテインメント性も十分。冒頭のインストゥルメンタル・ナンバーから客席を乗せ、サム登場へのバックグラウンド作りを行ないます。そしてサムは大ヒット曲「Hold On I'm Comin'」の一節を歌いながら登場し、ルイ・ジョーダンやB.B.キングでもおなじみのブルース「Let The Good Times Roll」、ベン・E・キングの「Don't Play That Song」、そしてオーティス・レディングの「I Can't Turn You Loose」やエディ・フロイドの「Knock On Wood」など、'60年代スタックス・レーベルの仲間たちの持ち歌も聴か せてくれました。
彼と同時代を生きた仲間がどんどん世を去っていく中、往年と変わらぬ張りのある歌声で魅了してくれるサム。さらなる健康を願い、不滅のソウル・スピリッツに乾杯しようではありませんか。公演は4日までです。ザ・レジェンドの雄姿、ぜひごらんください!
(原田 2013 4.26)
2013 1.30 wed.
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