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PAT METHENY UNITY BAND

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


アルバム『ユニティ・バンド』の発表から約1年。パット・メセニーの新ユニット"ユニティ・バンド"がまさしく今、来日しています。メンバーはパット、クリス・ポッター、ベン・ウィリアムス、アントニオ・サンチェスという不動の顔ぶれ。全員が現代ジャズ界のVIP級の才人といっても過言ではありません。「地球上で私がいちばん大好きな場所に、エクストラ・スペシャルなミュージシャンたちと出演できて嬉しいよ」と、パットは満面の笑みで語っておりました。

「どんな曲がプレイされるのかは、ライヴに来たファンだけが知るお楽しみにしたい」というパットの意志を尊重して、今回もセットリストは公開されませんが、ぼくの感想は「とにかく盛りだくさんの内容だった」というひとことにつきます。『ユニティ・バンド』からの曲はもちろんのこと、パット・メセニー・グループの曲も新たなアレンジでたっぷり演奏しましたし、25年ほど前に今はなき野外イベント「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」でアーニー・ワッツやチャーリー・ヘイデンと一緒にプレイした曲も再演してくれました。

また、ステージのオープニングではピカソ・ギターを用いたソロ・パフォーマンスも楽しませてくれました。左手でベース・パートを弾きながら、右手で楽器の上下についている弦をかきならすパットはとても忙しそうです。しかし音楽自体はゆったりとして、雄大で、とても神秘的でした。

クリスはテナー・サックスに加え、バス・クラリネットやソプラノ・サックスも吹きます。とある曲はオープニング・テーマをエレクトリック・ギターとテナー・サックスが合奏し、そのままアドリブに入り、パットがギター・シンセサイザー、クリスがソプラノ・サックスに持ち替えてエンディング・テーマを演奏し、その後にもう一度アドリブが続く・・・という構成でした。ギター・シンセが唸り、ソプラノがそれに絡む。この熱い"音の会話"は、ユニティ・バンドならではのものです。

ライヴのエンディング近くになると、後ろにかぶせられていたカーテンが取り払われました。パット・ファンにはおなじみの"自動演奏装置"、オーケストリオンの登場です。ソロならともかく、バンドとオーケストリオンの共演が、まさかライヴで実現するとはびっくりです。自動演奏装置とバンドの人力演奏のジョイントは、まるでオーケストラのような音の厚みを生み出しました。パットの頭の中は常に、自分が表現したいこと、オーディエンスに聴いてほしいことで溢れているのでしょう。

売店にはTシャツ、キャップ、ギターピック、楽譜、CDなど、パット本人が持参したグッズが目白押しです(一部サイン入り)。日本に入荷していなかったものも多数あります。今回の公演、パット・ファンからはいつも以上に"嬉しい悲鳴"が巻き起こるに違いありません。
(原田 2013 5.21)

SET LIST

アーティストの意向により、セットリストの公開はいたしません。

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