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FABRIZIO BOSSO QUARTET @COTTON CLUB

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来日するごとに、人気がうなぎのぼりのトランペット奏者がファブリッツィオ・ボッソです。本日から彼は日本のホームグラウンドである「ブルーノート東京」に登場しますが、それを待ちきれないぼくは超満員の「コットンクラブ」でボッソ・カルテットによるパフォーマンスを浴びてきました。

共演者はロレンツォ・トゥッチ(ドラムス)、クラウディオ・フィリッピーニ(ピアノ)、ロザリオ・ボナコルソ(ベース)。昨年の公演とは、ベーシストだけが違います。サックス奏者やギターを加えたユニットで来日したこともあるボッソですが、今の彼はワン・ホーン(ほかの管楽器を加えない編成)でバリバリと吹きまくる姿が似合います。音色の艶、音量の豊かさ、即興のスリル。ボッソがトランペット奏者として、大きなピークにさしかかっているのは疑いようがありません。

母国イタリアのマエストロ、ニーノ・ロータの楽曲を集めたアルバムが好評を呼んでいるボッソですが、この日のプレイはマイナー(短調)のブルースに始まり、80年代のウィントン・マルサリスを思わせるナンバー、ラテン風のリズムのものなど、どちらかというと彼のパワフルな側面が打ち出されていました。また、ルイ・アームストロングの歌で有名な「Do you know what it means to miss New Orleans」では、今では使うひともすっかり珍しくなったプランジャー・ミュートによるプレイも披露。

こういう伝統的な演奏も行なうかと思えば、いっぽうではオクターヴァー、ディレイ、ループなどを使ったアプローチにも取り組むのがボッソの面白いところです。ひょっとしたら彼は、これまでのジャズ・トランペットの歴史を自分の中に集約しようとしているのかもしれません。

アンコールの「In A Sentimental Mood」も実に沁みました。パワー120%の奏者が、それを巧みにセーブしながらしっとりと聴かせるバラード。ボッソの今後がさらに楽しみになるライヴでした。ブルーノート東京公演は今日からです。
(原田 2013 5.26)

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