2013 6.3 mon. - 6.8 sat.
CHICK COREA/STANLEY CLARKE TRIO with MARCUS GILMORE
artist CHICK COREA , MARCUS GILMORE , STANLEY CLARKE
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
チック・コリア、スタンリー・クラーク、マーカス・ギルモア。黄金のオールスター・トリオの公演が、昨日から始まっています。
チックはアメリカ・ニューヨークから、スタンリーはブラジルのリオ・デ・ジャネイロから、マーカスはフィンランドのヘルシンキから飛行機に乗って、東京に降り立ちました。地球規模で活動する3人にとって、距離や時差は問題ではありません。顔を合わせた次の瞬間から、憎いほど息の合ったパフォーマンスで楽しませてくれます。
アコースティック楽器もエレクトリック楽器も自由自在に演奏するチックとスタンリーですが、この日はすべてアコースティックでプレイされました。言い方を変えれば、「4ビートを基調とする、ドライブ感たっぷりのジャズ」を徹底的に聴かせてくれたのです。
ストライド・ピアノ風のイントロから始まった「Waltz For Debby」(もちろん、チックが敬愛するビル・エ ヴァンス作の超名曲です)も途中から火の出るような4ビートになり、チャーリー・パーカーの「Confirmation」を基にスタンリーが書いた「Three Wrong Notes」における3人のやりとりもスリリングそのものでした。
チックの初期を代表するナンバーである「Matrix」を再演してくれたのも嬉しかったですね。この曲が初演されたチックのアルバム『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブズ』('68年)ではロイ・ヘインズがドラムスを叩いていました。それからちょうど45年経った今、ヘインズの孫であるマーカス・ギルモアがチックと共にこの曲を演奏しています。ジャズの血脈が受け継がれる様子を、目の当たりにしたような気分です。
ところでチックとスタンリーのコンビネーションというと、多くのファンが真っ先に思い浮かべるのは'70年代を風靡したユニット"リターン・トゥ・フォーエヴァー"(RTF)のことではないでしょうか。ぼくもRTF時代のレパートリーを期待して会場にかけつけたのですが、その気持ちは200%満たされました。なんとセカンド・アルバムのタイトル曲である「Light As A Feather」を聴かせてくれたのです!
ぼくはオリジナル・ヴァージョンのフローラ・プリンの歌声、チックのフェンダー・ローズの音色が耳にこびりついているクチですが、アコースティック・ジャズのインストゥルメンタル・ナンバーとして生まれ変わったこの曲もまた、実に素敵でした。
演奏曲はあえて固定せず、ステージ上で即興的に決めていくとのこと。本日以降のライヴではどんな曲をプレイしてくれるのか、どんなサプライズに出会えるのか、いくら期待しても期待しすぎることはないでしょう。公演は8日まで行なわれます。
(原田 2013 6.3)